TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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以前からアレクセイの命でレイヴンとして、ギルドで働き
そして、ギルドでの地位が安定すると、今度は騎士団として隊長職を与えられた。
騎士団でもギルドでもアレクセイの手足となり働く日々。
一度死んだ身をよみがえらせたアレクセイが、自分を道具として壊れるまで使うのだろうということは理解していた。
初めは、それを苦痛と思うことはなかった。
なにも感じなかったから。
いや、感じようとしなかったから。
しかし、かたく閉ざしたはずの心は、大きな存在に揺り動かされ、徐々にほころび始めていた。
ドン・ホワイトホース
ユーリ・ローウェル
ギルドと騎士団
異なった場所にその身を置きながら似たような性質をもつ彼らは、他人の都合などお構いなしに他者の心の奥深くにまで踏み込んでくる。
彼らに言えば、おそらく『知るか、そりゃてめぇの都合だろ。勝手に俺がしたことにすんじゃねぇ』と怒られることだろう。
だが、彼らに心揺さぶられるものは多く、おのずと彼らの周りに人は集まる。
固い結束力を持つ強大な集団が作られる。
アレクセイはそれを恐れた。
烏合の衆ならば数は多くとも敵ではない。
だが、自分の前に立ちふさがるようなものは計画の邪魔となる。
ゆえに、シュヴァーンを監視役として遣わせたのだが……
アレクセイは自分の人形までが心を揺さぶられるとは考えなかった。
久方ぶりに帰った帝都。
シュヴァーンの姿で城内を歩く。
城内に変わった様子はなく、静かなもの。
だがそれは表面上で、皇帝不在の現状では裏で小汚いやり取りが繰り返されている。
シュヴァーンが歩く間も、密談を交わす貴族連中の姿を何度か目にした。
それほどまでに、帝都は腐食してきているのだ。
…あの人ならば、蹴散らしてまわるのだろうな
ふと、監視対象とされているユーリの姿が思い出される。
自由奔放でいい意味でも悪い意味でも規則にとらわれず、権力に屈しない彼ならば、たとえ相手が上位の貴族であろうと蹴り倒すであろう。
うらやましい。
ふとそう思ったが、同時に自嘲の笑みが浮かぶ。
自分にはそう思う資格すらもうないのだ。
死人には信念も何もありはしない。
「なに、にたにた笑ってんだ?」
突如後ろからかけられた声に、シュヴァーンは瞬時に振り返る。
物思いに耽っていたせいか、接近に全く気付かなかった。
シュヴァーンの視線を受けた男…ユーリは喰えない笑みを浮かべて肩をすくめて見せた。
「なんだ、邪魔したか?」
「いいえ。挨拶もせず、失礼致しました、ローウェル隊長」
「堅苦しいのはやめようぜ。俺がそういうの嫌いだって知ってんだろ?」
非礼を詫びるように深々と礼をして見せるシュヴァーンをユーリは片手で制す。
規律正しい騎士団において、堅苦しいのが嫌いとのたまった男の恰好は、相変わらずの乱れよう。
がしがしと頭をかいた男は、ふと何か思いついたように一瞬動きを止めると、にやり、と笑ってシュヴァーンの手をつかんだ。
突然のことに、ドキリ、とする。
驚くシュヴァーンにはお構いなしに、ユーリは彼の腕を引いてどんどん道を歩き始める。
「ローウェル隊長、一体何を…」
「驚かせた詫びだ、面白い奴に会わせてやるよ。土産話にでもすればいい」
「……っ……」
土産話……一体、誰にへの……
男の意味深な発言にシュヴァーンは無意識に息をのむ。
この男は一体どこまで知っているのか…はたまた、無意識か。
無表情を決め込むシュヴァーンを横目で見やり、ユーリは口の端に笑みを刻む。
シュヴァーンがそれに気付かなかったのは幸いか……
「よぉ、ナイレン」
とある一室。
軽く手を挙げて中の人物に笑みを送る。
中にいる人物はユーリの姿を見て同じく笑顔を浮かべたが、隣に連れている人物を見て、目を丸くした。
「ユーリ、何連れてんだ?そいつぁ、あれだろ?」
「そ、アレクセイの秘蔵っ子」
「子って言うほど若くねぇだろ」
「じゃあ、あれだ。右腕?」
「俺が知るか」
「ま、田舎にゃ情報はとどかねぇか」
「言ってくれるじゃねぇか、どうせお前ももうすぐ飛ばされンだろ」
「それでもいいさ」
「ま、確かに田舎はいいぜ。すごしやすいしな」
初めは自分の話しであったように思うが…いつの間にか話しはどんどんそれ…仕舞にはただの近況話となってしまっている。
シュヴァーンの彼らをみる目が徐々に呆れを含んだものになっていくのは仕方のないことだろう。
それに気づいたか、ユーリがシュヴァーンを振り返ってニヤリと笑う。
「シュヴァーン、挨拶しとけよ。滅多に帝都にもどってこれねぇフェドロック隊長だ」
「もどってこれねぇンじゃねぇ。もどってこねぇんだよ。間違えんな。……まったく、お前も厄介なのばっかに気に入られるな」
厄介なの…ばっかりに
それが誰と誰を示すのか。
時折引っかかるような言葉を投げかけられ、眉根を寄せるシュヴァーンにナイレンは右手を差し出す。
「ナイレン・フェドロックだ。今はシゾンタニアに駐屯してる」
「シュヴァーン・オルトレインです。お会いできて光栄です、フェドロック隊長」
「世事はよせ。辺境に飛ばされた落ち目の隊長と知り合ったって、何の得もねぇだろ」
「そんなことは……」
困ったように言葉を濁すシュヴァーンの背を、ナイレンは豪快に笑って叩く。
屈強な体をもつナイレンの力に押され、数歩たたらを踏む。
正直、かなり痛かったがそれを顔に出すことはいない。
もう、監視なんかどうでもいい。
一刻も早くこの場から逃れたかった。
「シュヴァーン、お前も忙しいだろ。もう、帰っていいぞ」
ユーリから助け、ともいえる声がかかる。
監視役としての命を遂行するならば、この二人があっている理由を確認しなければならなかったが、自分の上位格の隊長であるユーリにそう言われては、この場から辞去しないわけにはいかない。
そう自分の行動に理由をつけ、シュヴァーンはためらうことなくその場を後にする。
彼の気配が去ったのち、男二人は笑みを刻む。
「で、アレクセイの子飼いに俺らの関係をほのめかして何する気だ?」
「そろそろ田舎でじっとしとくのも飽きただろ?」
「まぁな」
「なら……」
「そろそろひと暴れしようぜ」
ユーリの目は城の中で退屈に倦んでいたものの目ではなく、獲物を前にした獣のように生き生きとしていた。
黒獅子の目覚め
そして、ギルドでの地位が安定すると、今度は騎士団として隊長職を与えられた。
騎士団でもギルドでもアレクセイの手足となり働く日々。
一度死んだ身をよみがえらせたアレクセイが、自分を道具として壊れるまで使うのだろうということは理解していた。
初めは、それを苦痛と思うことはなかった。
なにも感じなかったから。
いや、感じようとしなかったから。
しかし、かたく閉ざしたはずの心は、大きな存在に揺り動かされ、徐々にほころび始めていた。
ドン・ホワイトホース
ユーリ・ローウェル
ギルドと騎士団
異なった場所にその身を置きながら似たような性質をもつ彼らは、他人の都合などお構いなしに他者の心の奥深くにまで踏み込んでくる。
彼らに言えば、おそらく『知るか、そりゃてめぇの都合だろ。勝手に俺がしたことにすんじゃねぇ』と怒られることだろう。
だが、彼らに心揺さぶられるものは多く、おのずと彼らの周りに人は集まる。
固い結束力を持つ強大な集団が作られる。
アレクセイはそれを恐れた。
烏合の衆ならば数は多くとも敵ではない。
だが、自分の前に立ちふさがるようなものは計画の邪魔となる。
ゆえに、シュヴァーンを監視役として遣わせたのだが……
アレクセイは自分の人形までが心を揺さぶられるとは考えなかった。
久方ぶりに帰った帝都。
シュヴァーンの姿で城内を歩く。
城内に変わった様子はなく、静かなもの。
だがそれは表面上で、皇帝不在の現状では裏で小汚いやり取りが繰り返されている。
シュヴァーンが歩く間も、密談を交わす貴族連中の姿を何度か目にした。
それほどまでに、帝都は腐食してきているのだ。
…あの人ならば、蹴散らしてまわるのだろうな
ふと、監視対象とされているユーリの姿が思い出される。
自由奔放でいい意味でも悪い意味でも規則にとらわれず、権力に屈しない彼ならば、たとえ相手が上位の貴族であろうと蹴り倒すであろう。
うらやましい。
ふとそう思ったが、同時に自嘲の笑みが浮かぶ。
自分にはそう思う資格すらもうないのだ。
死人には信念も何もありはしない。
「なに、にたにた笑ってんだ?」
突如後ろからかけられた声に、シュヴァーンは瞬時に振り返る。
物思いに耽っていたせいか、接近に全く気付かなかった。
シュヴァーンの視線を受けた男…ユーリは喰えない笑みを浮かべて肩をすくめて見せた。
「なんだ、邪魔したか?」
「いいえ。挨拶もせず、失礼致しました、ローウェル隊長」
「堅苦しいのはやめようぜ。俺がそういうの嫌いだって知ってんだろ?」
非礼を詫びるように深々と礼をして見せるシュヴァーンをユーリは片手で制す。
規律正しい騎士団において、堅苦しいのが嫌いとのたまった男の恰好は、相変わらずの乱れよう。
がしがしと頭をかいた男は、ふと何か思いついたように一瞬動きを止めると、にやり、と笑ってシュヴァーンの手をつかんだ。
突然のことに、ドキリ、とする。
驚くシュヴァーンにはお構いなしに、ユーリは彼の腕を引いてどんどん道を歩き始める。
「ローウェル隊長、一体何を…」
「驚かせた詫びだ、面白い奴に会わせてやるよ。土産話にでもすればいい」
「……っ……」
土産話……一体、誰にへの……
男の意味深な発言にシュヴァーンは無意識に息をのむ。
この男は一体どこまで知っているのか…はたまた、無意識か。
無表情を決め込むシュヴァーンを横目で見やり、ユーリは口の端に笑みを刻む。
シュヴァーンがそれに気付かなかったのは幸いか……
「よぉ、ナイレン」
とある一室。
軽く手を挙げて中の人物に笑みを送る。
中にいる人物はユーリの姿を見て同じく笑顔を浮かべたが、隣に連れている人物を見て、目を丸くした。
「ユーリ、何連れてんだ?そいつぁ、あれだろ?」
「そ、アレクセイの秘蔵っ子」
「子って言うほど若くねぇだろ」
「じゃあ、あれだ。右腕?」
「俺が知るか」
「ま、田舎にゃ情報はとどかねぇか」
「言ってくれるじゃねぇか、どうせお前ももうすぐ飛ばされンだろ」
「それでもいいさ」
「ま、確かに田舎はいいぜ。すごしやすいしな」
初めは自分の話しであったように思うが…いつの間にか話しはどんどんそれ…仕舞にはただの近況話となってしまっている。
シュヴァーンの彼らをみる目が徐々に呆れを含んだものになっていくのは仕方のないことだろう。
それに気づいたか、ユーリがシュヴァーンを振り返ってニヤリと笑う。
「シュヴァーン、挨拶しとけよ。滅多に帝都にもどってこれねぇフェドロック隊長だ」
「もどってこれねぇンじゃねぇ。もどってこねぇんだよ。間違えんな。……まったく、お前も厄介なのばっかに気に入られるな」
厄介なの…ばっかりに
それが誰と誰を示すのか。
時折引っかかるような言葉を投げかけられ、眉根を寄せるシュヴァーンにナイレンは右手を差し出す。
「ナイレン・フェドロックだ。今はシゾンタニアに駐屯してる」
「シュヴァーン・オルトレインです。お会いできて光栄です、フェドロック隊長」
「世事はよせ。辺境に飛ばされた落ち目の隊長と知り合ったって、何の得もねぇだろ」
「そんなことは……」
困ったように言葉を濁すシュヴァーンの背を、ナイレンは豪快に笑って叩く。
屈強な体をもつナイレンの力に押され、数歩たたらを踏む。
正直、かなり痛かったがそれを顔に出すことはいない。
もう、監視なんかどうでもいい。
一刻も早くこの場から逃れたかった。
「シュヴァーン、お前も忙しいだろ。もう、帰っていいぞ」
ユーリから助け、ともいえる声がかかる。
監視役としての命を遂行するならば、この二人があっている理由を確認しなければならなかったが、自分の上位格の隊長であるユーリにそう言われては、この場から辞去しないわけにはいかない。
そう自分の行動に理由をつけ、シュヴァーンはためらうことなくその場を後にする。
彼の気配が去ったのち、男二人は笑みを刻む。
「で、アレクセイの子飼いに俺らの関係をほのめかして何する気だ?」
「そろそろ田舎でじっとしとくのも飽きただろ?」
「まぁな」
「なら……」
「そろそろひと暴れしようぜ」
ユーリの目は城の中で退屈に倦んでいたものの目ではなく、獲物を前にした獣のように生き生きとしていた。
黒獅子の目覚め
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