TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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「ユーリ・ローウェルの追跡をやめろとは一体どういうことでしょうか」
すっかり落ち込んでしまったエステルを送り届けるために帝都へと帰還後、フレンはアレクセイに呼び出された。
そして、単刀直入に言い渡された。
ユーリの捜索はやめるように、と。
容疑者の捕縛は騎士団の職務。
本来ならば、それを遂行している隊長をわざわざ騎士団長が呼び出して制止するなんてことあるはずはない。
フレンはいぶかしげに眉をひそめた。
「恐れながら、彼にはキュモール隊長の殺害容疑がかかっています。そのような人物を野放しにしておくのは…」
内心、苦い思いを抱えながらアレクセイに進言する。
ユーリを罪人のように言うことはフレンにとって不本意ではあったが、隊長という立場の自分がユーリを捜索するには、理由があったほうが行動しやすい。
しかし、フレンの思いをよそにアレクセイは淡々と告げる。
「これは決定事項だよ」
「………理由をお伺いしても?」
騎士団のうちにいる以上、上司からの命令は絶対。
しかし、到底納得できる命令ではなかったため、フレンはアレクセイに問うた。
本来ならば質問など許されるものではないのだが、アレクセイは気分を害した様子もなく答えた。
「まぁ、君には知る権利があるだろう。しかし、これは他言無用だ」
「……」
フレンが無言でうなづくのを見ると、アレクセイはゆったりと手を組んで話し始めた。
「アレクサンダー・フォン・キュモール…いや、正確にはもうフォンは必要ないな。奴はすでに騎士団のものではない。奴はラゴウと手を組み、国家の転覆を謀った国家反逆者だ。そして、残念なことに彼らに手を貸した者たちは多くてね。下手をすれば国家の根底を揺るがしきれない大事件となる」
「……隠蔽…ですか」
フレンが苦々しい思いでつぶやくと、アレクセイは困ったように笑った。
「もっとも、いくつかはすでに明るみになってしまっている。今更すべてを覆い隠すとかえって不自然になるため、最低限のことは公表される。キュモールは帝国で管理を行われているはずの魔導器を横流しした罪で貴族の身分を剥奪。彼はそれに耐えきれず、自害した……。君は自害した人間を殺害した犯人などいると思うかな?」
「…いいえ」
アレクセイから与えられる無言の圧力。
それを前にして、フレンは頷くしかなかった。
顔をこわばらせたフレンが退室すると、アレクセイはふぅと息を吐いた。
「全く。良くも悪くもまっすぐだな、彼は」
「あんたも、昔はそうだったでしょうよ。騎士の鏡なんて言われちゃってるくせに」
カーテンの向こうに隠れていたシュヴァーンがあきれたようにつぶやく。
「目的を達するために、よりよい手段を選ぶようになったまでだ。それに、騎士道に反したことは行っていない。私が騎士の鏡と讃えられても、それは間違いではないだろう」
悪びれた様子もなく、しれっと言うアレクセイに、シュヴァーンは呆れの色を濃くする。
確かに、間違ってはいないのだが……
「青年にばれたら、怖いわよ」
「彼は自分の役目を心得ている。自分の領域に踏み込んではいない者にまで牙を伸ばすような獣ではないよ、暗行御史殿は」
自信たっぷりな様子のアレクセイに、シュヴァーンはそれ以上言う言葉を持たず……重くため息を漏らす。
疲れた様子のシュヴァーンには構わず、アレクセイは次なる算段をたてる。
「さて、これでひと段落はついた。後は、ヨーデル殿下を皇帝として評議会に認めさせるだけ…だな」
「簡単にいきますかねぇ…多少弱体化したとはいえ、相手はあの評議会ですよ?金と権力という甘い汁が好きな腐った虫どもだ」
「だが、その虫どもが擁立したエステリーゼ様は自分を評議会が利用しようとしていたことを知り、帝位継承権を放棄なされた。帝位継承権を持つものがヨーデル殿下しかいなくなった今、評議会を認めざるを得まい」
「……わざと姫様にその情報知らせて、そうなるように仕組んだのはどこの誰よ」
「実行犯に言われたくはないな」
しばし、お互い無言。
結局は同じことをやってきているため、同罪なのだ。
「これから忙しくなるぞ」
愉快そうに笑うアレクセイ。
自分がこき使われる予感を感じ取って、シュヴァーンは長々とため息をついた。
すっかり落ち込んでしまったエステルを送り届けるために帝都へと帰還後、フレンはアレクセイに呼び出された。
そして、単刀直入に言い渡された。
ユーリの捜索はやめるように、と。
容疑者の捕縛は騎士団の職務。
本来ならば、それを遂行している隊長をわざわざ騎士団長が呼び出して制止するなんてことあるはずはない。
フレンはいぶかしげに眉をひそめた。
「恐れながら、彼にはキュモール隊長の殺害容疑がかかっています。そのような人物を野放しにしておくのは…」
内心、苦い思いを抱えながらアレクセイに進言する。
ユーリを罪人のように言うことはフレンにとって不本意ではあったが、隊長という立場の自分がユーリを捜索するには、理由があったほうが行動しやすい。
しかし、フレンの思いをよそにアレクセイは淡々と告げる。
「これは決定事項だよ」
「………理由をお伺いしても?」
騎士団のうちにいる以上、上司からの命令は絶対。
しかし、到底納得できる命令ではなかったため、フレンはアレクセイに問うた。
本来ならば質問など許されるものではないのだが、アレクセイは気分を害した様子もなく答えた。
「まぁ、君には知る権利があるだろう。しかし、これは他言無用だ」
「……」
フレンが無言でうなづくのを見ると、アレクセイはゆったりと手を組んで話し始めた。
「アレクサンダー・フォン・キュモール…いや、正確にはもうフォンは必要ないな。奴はすでに騎士団のものではない。奴はラゴウと手を組み、国家の転覆を謀った国家反逆者だ。そして、残念なことに彼らに手を貸した者たちは多くてね。下手をすれば国家の根底を揺るがしきれない大事件となる」
「……隠蔽…ですか」
フレンが苦々しい思いでつぶやくと、アレクセイは困ったように笑った。
「もっとも、いくつかはすでに明るみになってしまっている。今更すべてを覆い隠すとかえって不自然になるため、最低限のことは公表される。キュモールは帝国で管理を行われているはずの魔導器を横流しした罪で貴族の身分を剥奪。彼はそれに耐えきれず、自害した……。君は自害した人間を殺害した犯人などいると思うかな?」
「…いいえ」
アレクセイから与えられる無言の圧力。
それを前にして、フレンは頷くしかなかった。
顔をこわばらせたフレンが退室すると、アレクセイはふぅと息を吐いた。
「全く。良くも悪くもまっすぐだな、彼は」
「あんたも、昔はそうだったでしょうよ。騎士の鏡なんて言われちゃってるくせに」
カーテンの向こうに隠れていたシュヴァーンがあきれたようにつぶやく。
「目的を達するために、よりよい手段を選ぶようになったまでだ。それに、騎士道に反したことは行っていない。私が騎士の鏡と讃えられても、それは間違いではないだろう」
悪びれた様子もなく、しれっと言うアレクセイに、シュヴァーンは呆れの色を濃くする。
確かに、間違ってはいないのだが……
「青年にばれたら、怖いわよ」
「彼は自分の役目を心得ている。自分の領域に踏み込んではいない者にまで牙を伸ばすような獣ではないよ、暗行御史殿は」
自信たっぷりな様子のアレクセイに、シュヴァーンはそれ以上言う言葉を持たず……重くため息を漏らす。
疲れた様子のシュヴァーンには構わず、アレクセイは次なる算段をたてる。
「さて、これでひと段落はついた。後は、ヨーデル殿下を皇帝として評議会に認めさせるだけ…だな」
「簡単にいきますかねぇ…多少弱体化したとはいえ、相手はあの評議会ですよ?金と権力という甘い汁が好きな腐った虫どもだ」
「だが、その虫どもが擁立したエステリーゼ様は自分を評議会が利用しようとしていたことを知り、帝位継承権を放棄なされた。帝位継承権を持つものがヨーデル殿下しかいなくなった今、評議会を認めざるを得まい」
「……わざと姫様にその情報知らせて、そうなるように仕組んだのはどこの誰よ」
「実行犯に言われたくはないな」
しばし、お互い無言。
結局は同じことをやってきているため、同罪なのだ。
「これから忙しくなるぞ」
愉快そうに笑うアレクセイ。
自分がこき使われる予感を感じ取って、シュヴァーンは長々とため息をついた。
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