TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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「悪かったな、フレン。嫌な役目押しつけちまって」
援軍は式典が終わるまで来ない。
そう伝えたフレンに対して、ナイレンの反応はあっさりしたものだった。
まるで初めから結果は分かっていたかのように、そうか、と言ったのみ。
反面、申し訳なさそうにフレンに笑って見せた。
それに対し、いいえと首を振って見せ、そう言えば…と思いだしたことを告げる。
「ローウェル隊長が…」
「あ?ユーリがどうかしたか?」
「いえ…その、よろしく言っといてくれ、と」
「そうか、あいつが……わかった」
口元に笑みを浮かべ、何度か頷くナイレンを見て、フレンは不思議そうに首をかしげる。
だが、結局詳細は教えてはもらえず……
「ご苦労だったな。今日はゆっくり休め」
と追い出された。
こんな宙ぶらりんの状態では、気になってゆっくり休むどころではない…と思ってはいたが、長旅で疲れた体は正直で、フレンはその日夢も見ずに眠った。
夜。
裏門を必死に叩く人影があった。
わずかな明かりを頼りに目を凝らすと、それが騎士だと知れる。
しかも、その騎士服は…
親衛隊がなんでこんなところに……
物陰に隠れてこっそりと窺う。
なんだか、最近…とうかいつも隠れてばかりだなと嘆きたくなるが、今は考えないようにした。
「……森で魔導器を使おうとしたら、爆発を…!」
親衛隊員は息も切れ切れに何者かに訴えかけている。
しかし、相手の人物が慌てている様子はない。
「わかりました。そのことについては私から報告をしておきます。あなたは一刻も早くここから離れなさい」
「ですが…」
「いいですね」
「………了解しました」
男に押し切られる形で、親衛隊員はそれを了承する。
このままでは、相手の顔を見れないうちに扉が閉められてしまう。
レイヴンは物音をたてないように慎重に、だが迅速に動いた。
そして…
あの男は…たしか、ここの騎士団の軍師…
わずかな明かりに照らされた顔はまさしく…ガリスタ・ルオドーだった。
レイヴンはそっとその場を離れる。
彼らの姿が見えなくなり、レイヴンはほっと息を吐いた。
「やっぱり、あの人が一枚噛んでるってわけね」
ガリスタは魔導器研究でも知られた名だ。
その彼がわざわざシゾンタニアの軍師をつとめ、なおかつ親衛隊の報告を受ける。
そうなればガリスタが報告をすべき相手となるのは、皇帝不在の今、騎士団長のアレクセイ以外にない。
「どうりで異常が起こっても放置するわけね。ここは実験場ってとこかしらね」
レイヴンは夜空を見上げて息を吐く。
アレクセイがしたことならば、この事象に関して彼への報告は必要ない。
そもそも、彼は彼が命じたこと以外の報告は好まない。
駒は命じたことだけやっておけばいいというのが彼の持論だ。
今、レイヴンに命じられているのは、ドンの信頼を得てギルド内での地位を築いて内部を探ること、ユーリ・ローウェルの動向を監視すること、の二つだ。
今回のことはアレクセイの命ではなく、ドンからの命令。
信頼を得るためには、与えられた以上の仕事を正確にこなすことが必要。
だから…
「ドンに報告に行きましょうかね」
よっこらせ、と立ち上がり埃をはたく。
そして、夜が明けるころにそっとシゾンタニアを発った。
レイヴンは気付かない。
人形は行動に理由をつけたりなんかしない。
理由を求めるものは、理知あるものだけ。
わざわざ理由をつけて、アレクセイの命に従順な人形であろうとしている彼は、もう人形でなく一人の人間であるのだということを。
だが、まだそれに気付かぬ彼は、人形であることを演じ続けていた。
援軍は式典が終わるまで来ない。
そう伝えたフレンに対して、ナイレンの反応はあっさりしたものだった。
まるで初めから結果は分かっていたかのように、そうか、と言ったのみ。
反面、申し訳なさそうにフレンに笑って見せた。
それに対し、いいえと首を振って見せ、そう言えば…と思いだしたことを告げる。
「ローウェル隊長が…」
「あ?ユーリがどうかしたか?」
「いえ…その、よろしく言っといてくれ、と」
「そうか、あいつが……わかった」
口元に笑みを浮かべ、何度か頷くナイレンを見て、フレンは不思議そうに首をかしげる。
だが、結局詳細は教えてはもらえず……
「ご苦労だったな。今日はゆっくり休め」
と追い出された。
こんな宙ぶらりんの状態では、気になってゆっくり休むどころではない…と思ってはいたが、長旅で疲れた体は正直で、フレンはその日夢も見ずに眠った。
夜。
裏門を必死に叩く人影があった。
わずかな明かりを頼りに目を凝らすと、それが騎士だと知れる。
しかも、その騎士服は…
親衛隊がなんでこんなところに……
物陰に隠れてこっそりと窺う。
なんだか、最近…とうかいつも隠れてばかりだなと嘆きたくなるが、今は考えないようにした。
「……森で魔導器を使おうとしたら、爆発を…!」
親衛隊員は息も切れ切れに何者かに訴えかけている。
しかし、相手の人物が慌てている様子はない。
「わかりました。そのことについては私から報告をしておきます。あなたは一刻も早くここから離れなさい」
「ですが…」
「いいですね」
「………了解しました」
男に押し切られる形で、親衛隊員はそれを了承する。
このままでは、相手の顔を見れないうちに扉が閉められてしまう。
レイヴンは物音をたてないように慎重に、だが迅速に動いた。
そして…
あの男は…たしか、ここの騎士団の軍師…
わずかな明かりに照らされた顔はまさしく…ガリスタ・ルオドーだった。
レイヴンはそっとその場を離れる。
彼らの姿が見えなくなり、レイヴンはほっと息を吐いた。
「やっぱり、あの人が一枚噛んでるってわけね」
ガリスタは魔導器研究でも知られた名だ。
その彼がわざわざシゾンタニアの軍師をつとめ、なおかつ親衛隊の報告を受ける。
そうなればガリスタが報告をすべき相手となるのは、皇帝不在の今、騎士団長のアレクセイ以外にない。
「どうりで異常が起こっても放置するわけね。ここは実験場ってとこかしらね」
レイヴンは夜空を見上げて息を吐く。
アレクセイがしたことならば、この事象に関して彼への報告は必要ない。
そもそも、彼は彼が命じたこと以外の報告は好まない。
駒は命じたことだけやっておけばいいというのが彼の持論だ。
今、レイヴンに命じられているのは、ドンの信頼を得てギルド内での地位を築いて内部を探ること、ユーリ・ローウェルの動向を監視すること、の二つだ。
今回のことはアレクセイの命ではなく、ドンからの命令。
信頼を得るためには、与えられた以上の仕事を正確にこなすことが必要。
だから…
「ドンに報告に行きましょうかね」
よっこらせ、と立ち上がり埃をはたく。
そして、夜が明けるころにそっとシゾンタニアを発った。
レイヴンは気付かない。
人形は行動に理由をつけたりなんかしない。
理由を求めるものは、理知あるものだけ。
わざわざ理由をつけて、アレクセイの命に従順な人形であろうとしている彼は、もう人形でなく一人の人間であるのだということを。
だが、まだそれに気付かぬ彼は、人形であることを演じ続けていた。
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