TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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突然の騎士団の出現。
ここが帝国領内の普通の市街ならば、騒ぎが収まるのだろうが、ここはノードポリカ。ギルドの街だ。
住むのは騎士団の人間を忌々しいと思う人間ばかりだ。
ここにいるフレンの出現は、当然ながら火に油を注ぐ結果となった。
「帝国の犬が何の用だ!」
「てめぇに用はねぇ!すっこんでろ!!」
怒号が飛び交う。
フレンがここで引き下がってくれるような人間ならまだよかったのだろうが、彼はそうではなかった。
自分の正義を信じて悪には屈しない。
彼の副官いわく、『騎士の鏡』だ。
当然、フレンはどんな罵倒にもたじろぐことなく、そこに凛と立っていた。
ユーリは頭を抱えたくなる。
だが、クリントに剣を突き付けて人質としている最中。ここで脱力するわけにはいかなかった。
…けど、あいつなんでこんなとこに来たんだ?
フレンはあの時シュヴァーンの命でキュモールを追ったはずだ。
その彼がなぜこんなところにいるのかが分からない。
気になるのは山々だが、今はこの場をなんとかするのが先決だ。
ちらりとベリウスに目をやると、彼女は分かっている、と言うようにうなづいた。
「騎士団の者よ。ここはギルドの街。ギルドによって作られ、ギルドによって守られる。ここで起きたいかなる争いもすべてはギルドによって対処する。そなたらの介入は無用じゃ」
丁寧な物言いをしてはいるが、その言葉は完全なる拒絶。
話し合いの余地などは全くない。
しかし、フレンも引き下がらなかった。
「残念ながらこちらにも理由はある。私は、国家反逆者を追ってここへ来た。今回の事件はその人物が誘発し、ギルド同士の抗争を呷った可能性が高い。国家反逆者の追撃は我ら騎士団の役目。いかに立ち去れと言われようと、応じることはできない!」
国家反逆者?
ユーリはフレンの言葉に息をのんだ。
現時点でそこまでの罪が確定しそうな人物…そして、フレンの隊長への急な昇進。
それを考えると…ある人物が降格し、その欠員をフレンが補うことになったと考えるのが妥当。
となれば反逆者は……
「キュモールか」
苦々しげに言い放つ。
その言葉はフレンには届かなかったようだ。
彼はギルドの面々とにらみ合っている。
ユーリは刀を突き付けたままクリントに話しかける。
「おい、答えろ。街に火を放ち、モンスターどもを逃がした下衆は貴様らか?」
「……」
「舐めるな!俺たちは魔物を狩るのにそんな真似はしねぇ!」
ユーリの口元がかすかに上がり、笑みを作りだす。
わざと挑発的な言葉を吐けば、クリントは答えないにしてもだれかが答えるだろうと思っていた。
そうしたら案の定。ティソンが望みの言葉をくれる。
そして、その言葉に連動して魔狩りの剣のメンバーが雄叫びをあげる。
これ以上問う必要はない。
ならば、それを行った犯人はどこかにいるはず。
そして、この争いをどこかで見ているはずだ。
ユーリは注意深くあたりを見回す。
……あれか
魔狩りの剣のメンバーの一人。
メンバーになじみ切れず、一人わずかにだが離れたところに立っている。
しかも、先ほどからフレンのほうをちらちらと見ていた。
闘技場の中とあって、出入り口は今フレンのいるところのみ。
彼があの場から退かねば出入り口を通ることはかなわない。
ひとまず、逃げられる心配はねぇな。
ユーリは再度あたりを見回す。
しかし、その人物以外にめぼしい奴は見当たらない。
貴族であるキュモールは現場で自ら先陣たって行動する性質ではない。
今回も自分は安全なところで報告を待っているに違いない。
全く忌々しい。
わかっていても行動できないこの状況がもどかしい。
そんなユーリの心情を察してか、こんな状況下にもかかわらず、ベリウスがくすりと笑った。
「ユーリ、行ってくるがよい」
「ベリウス?」
「これしきの事、わらわとて対処ができる。そなたは、そなたの務めを果たすがよい」
「けど…!」
「のう、クリントよ」
ベリウスは膝をついたままのクリントに視線をやる。
「このままでは、そなたらは復讐のためなら街に火を放つ下郎ということになる。人々にとっては貴様らも魔物も変わらぬ…ということになるぞ?」
魔物と同じと評され、魔狩りの剣の者たちは気色ばむ。
この世で最も魔物を憎む彼らが、それと同じなどと言われては黙ってはいない。
クリントはようやく重たい口を開いた。
「他人の評価など関係ない。だが、そうまで言われて黙っているほど腑抜けではない」
クリントは首筋にあてられた剣先に構わず立ち上がる。
ユーリもその動きに合わせておとなしく剣をひいた。
決して友好とは言えない雰囲気ではあるが、これ以上争うことはないだろう。
ユーリは今度の目標を怪しげな動きをしていた男に定める。
ゆったりと歩き男に近寄っていく。
抜き身の刀を持ったまま近寄ってくるユーリを見て、男はたじろいだ。
逃げようと身を返すが、すでに遅い。
ひたりと剣先が突き付けられる。
「言え」
「ひっ」
「あいつはどこだ?」
「あ………あ……」
仲間がやられていると思ったのか、魔狩りの剣の幾人かがユーリを止めようと動くが、それはクリントによって制された。
そして、改めてみる。そして悟った。
だれもその人間を知らないことに。
新しくギルドに入った人間などいない。たとえいたとしても、この作戦に新人を参加させるわけがない。
ならば、答えは一つ。
奴はまわし者だ。
「さぁ、言え」
ユーリの言葉はどこまでも冷たい。
脅すように刀の切っ先が皮膚を切り裂く。
すると、悲鳴を上げるように男が叫んだ。
「た、た、高台の上!」
「ユーリ!待て!!」
フレンの制止を振り切り、ユーリは駆ける。
ユーリを止めようと伸ばされた手はむなしく空をきった。
走り去る親友の後姿を見て、フレンはぐっとこぶしを握る。
「ユーリ…君は……」
一体何をしようとしているんだ?
親友には伝わらない…伝えられない不安。
彼のことを信じているのに、状況は彼を疑うように仕向けてくる。
「隊長。追いますか?」
「……頼む、ソディア」
「はい」
フレンの代わりにソディアがユーリの後を追う。
フレンはぐっと何かをこらえるように唇をかみしめた。
ここが帝国領内の普通の市街ならば、騒ぎが収まるのだろうが、ここはノードポリカ。ギルドの街だ。
住むのは騎士団の人間を忌々しいと思う人間ばかりだ。
ここにいるフレンの出現は、当然ながら火に油を注ぐ結果となった。
「帝国の犬が何の用だ!」
「てめぇに用はねぇ!すっこんでろ!!」
怒号が飛び交う。
フレンがここで引き下がってくれるような人間ならまだよかったのだろうが、彼はそうではなかった。
自分の正義を信じて悪には屈しない。
彼の副官いわく、『騎士の鏡』だ。
当然、フレンはどんな罵倒にもたじろぐことなく、そこに凛と立っていた。
ユーリは頭を抱えたくなる。
だが、クリントに剣を突き付けて人質としている最中。ここで脱力するわけにはいかなかった。
…けど、あいつなんでこんなとこに来たんだ?
フレンはあの時シュヴァーンの命でキュモールを追ったはずだ。
その彼がなぜこんなところにいるのかが分からない。
気になるのは山々だが、今はこの場をなんとかするのが先決だ。
ちらりとベリウスに目をやると、彼女は分かっている、と言うようにうなづいた。
「騎士団の者よ。ここはギルドの街。ギルドによって作られ、ギルドによって守られる。ここで起きたいかなる争いもすべてはギルドによって対処する。そなたらの介入は無用じゃ」
丁寧な物言いをしてはいるが、その言葉は完全なる拒絶。
話し合いの余地などは全くない。
しかし、フレンも引き下がらなかった。
「残念ながらこちらにも理由はある。私は、国家反逆者を追ってここへ来た。今回の事件はその人物が誘発し、ギルド同士の抗争を呷った可能性が高い。国家反逆者の追撃は我ら騎士団の役目。いかに立ち去れと言われようと、応じることはできない!」
国家反逆者?
ユーリはフレンの言葉に息をのんだ。
現時点でそこまでの罪が確定しそうな人物…そして、フレンの隊長への急な昇進。
それを考えると…ある人物が降格し、その欠員をフレンが補うことになったと考えるのが妥当。
となれば反逆者は……
「キュモールか」
苦々しげに言い放つ。
その言葉はフレンには届かなかったようだ。
彼はギルドの面々とにらみ合っている。
ユーリは刀を突き付けたままクリントに話しかける。
「おい、答えろ。街に火を放ち、モンスターどもを逃がした下衆は貴様らか?」
「……」
「舐めるな!俺たちは魔物を狩るのにそんな真似はしねぇ!」
ユーリの口元がかすかに上がり、笑みを作りだす。
わざと挑発的な言葉を吐けば、クリントは答えないにしてもだれかが答えるだろうと思っていた。
そうしたら案の定。ティソンが望みの言葉をくれる。
そして、その言葉に連動して魔狩りの剣のメンバーが雄叫びをあげる。
これ以上問う必要はない。
ならば、それを行った犯人はどこかにいるはず。
そして、この争いをどこかで見ているはずだ。
ユーリは注意深くあたりを見回す。
……あれか
魔狩りの剣のメンバーの一人。
メンバーになじみ切れず、一人わずかにだが離れたところに立っている。
しかも、先ほどからフレンのほうをちらちらと見ていた。
闘技場の中とあって、出入り口は今フレンのいるところのみ。
彼があの場から退かねば出入り口を通ることはかなわない。
ひとまず、逃げられる心配はねぇな。
ユーリは再度あたりを見回す。
しかし、その人物以外にめぼしい奴は見当たらない。
貴族であるキュモールは現場で自ら先陣たって行動する性質ではない。
今回も自分は安全なところで報告を待っているに違いない。
全く忌々しい。
わかっていても行動できないこの状況がもどかしい。
そんなユーリの心情を察してか、こんな状況下にもかかわらず、ベリウスがくすりと笑った。
「ユーリ、行ってくるがよい」
「ベリウス?」
「これしきの事、わらわとて対処ができる。そなたは、そなたの務めを果たすがよい」
「けど…!」
「のう、クリントよ」
ベリウスは膝をついたままのクリントに視線をやる。
「このままでは、そなたらは復讐のためなら街に火を放つ下郎ということになる。人々にとっては貴様らも魔物も変わらぬ…ということになるぞ?」
魔物と同じと評され、魔狩りの剣の者たちは気色ばむ。
この世で最も魔物を憎む彼らが、それと同じなどと言われては黙ってはいない。
クリントはようやく重たい口を開いた。
「他人の評価など関係ない。だが、そうまで言われて黙っているほど腑抜けではない」
クリントは首筋にあてられた剣先に構わず立ち上がる。
ユーリもその動きに合わせておとなしく剣をひいた。
決して友好とは言えない雰囲気ではあるが、これ以上争うことはないだろう。
ユーリは今度の目標を怪しげな動きをしていた男に定める。
ゆったりと歩き男に近寄っていく。
抜き身の刀を持ったまま近寄ってくるユーリを見て、男はたじろいだ。
逃げようと身を返すが、すでに遅い。
ひたりと剣先が突き付けられる。
「言え」
「ひっ」
「あいつはどこだ?」
「あ………あ……」
仲間がやられていると思ったのか、魔狩りの剣の幾人かがユーリを止めようと動くが、それはクリントによって制された。
そして、改めてみる。そして悟った。
だれもその人間を知らないことに。
新しくギルドに入った人間などいない。たとえいたとしても、この作戦に新人を参加させるわけがない。
ならば、答えは一つ。
奴はまわし者だ。
「さぁ、言え」
ユーリの言葉はどこまでも冷たい。
脅すように刀の切っ先が皮膚を切り裂く。
すると、悲鳴を上げるように男が叫んだ。
「た、た、高台の上!」
「ユーリ!待て!!」
フレンの制止を振り切り、ユーリは駆ける。
ユーリを止めようと伸ばされた手はむなしく空をきった。
走り去る親友の後姿を見て、フレンはぐっとこぶしを握る。
「ユーリ…君は……」
一体何をしようとしているんだ?
親友には伝わらない…伝えられない不安。
彼のことを信じているのに、状況は彼を疑うように仕向けてくる。
「隊長。追いますか?」
「……頼む、ソディア」
「はい」
フレンの代わりにソディアがユーリの後を追う。
フレンはぐっと何かをこらえるように唇をかみしめた。
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