TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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ノードポリカへと向かう船の上。
もうすぐにそちらにつくというとき…陸地から立ち上る煙が見えた。
風にのって漂ってくる焦げた匂い。
胸がざわめく。
船に乗っていたほかの乗組員たちもそれに気付いたのか、ざわめき始める。
「おい・・・あれって・・・」
「火事・・・か?」
「馬鹿な。あそこは戦士の殿堂の街だ」
「だが・・・」
信じられない思いで、船を走らせる。
だが、徐々に肉眼でも確認できるようになった街。
その惨状は皆の否定したい気持ちを裏切るものだった。
逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえ、魔物の雄叫びすらまじる。
煙の出所は、ノードポリカの象徴ともいえる闘技場からで、その焼け焦げた匂いは近づけば近づくほど濃さを増し、鼻をつきさす。
「どういうことだ・・・?」
自分の育ての親の街、故郷ともいえる街の惨状にユーリは言葉を失う。
それは、船の乗組員らもおなじだったようで、誰もが言葉をなくしてただ立ち尽くすのみ・・・。
だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
ユーリはこぶしを強く握ると、船の船員に詰め寄った。
「おい!なんとか船をつけられないか!?」
「・・・この状況じゃ・・・」
「じゃあ、このまま見てろって言うのか!?」
「・・・・・・」
ユーリの剣幕に船員たちは気圧され、目をそらす。
その様子はもうすべてをあきらめているように見え、ユーリを苛立たせた。
「なら、小舟でも何でもいい。貸してくれ」
「あんた!一人で行く気か!?」
「あそこには恩人がいる。逃げるわけにはいかねぇんだよ」
ユーリは船員の答えも聞かず、船の横に設置されている救命用のボートに近づく。
そしてテキパキとくくってあるロープを外し始めた。
船員はそれを止めることもできず、仲間と顔を見合わせるばかり。
そこへ、ひと際野太い声がかかった。
「そんな小舟じゃ陸地まで行くのに時間がかかるぜ」
声をかけられたユーリは作業の手は止めないまま、声の主に目をやる。
潮風にあたり、ぼさぼさな髪。
筋骨隆々とした体つきにまとった服は所々が擦り切れて、この男がどれほどこの海ですごしてきたのかを窺わせる。
おそらく船長だろうその男はユーリにニヤリとした笑みを向けた。
「おせぇのなんかわかってる。けど、いかねぇよりはましじゃねぇか?客が乗ってる船をあんなとこにつけられねえっていうあんたらの事情もあるだろうが、俺には俺の事情がある」
挑戦的に睨みつけるユーリ。
だが、船長は気分を害するどころか、さも愉快といわんばかりに豪快に笑った。
「はははっ!!こいつらの陸に上がりたがらねぇ理由をそんな風に解釈してくれるとはありがてぇがな、こいつらは陸でのもめごとにゃ慣れてねぇ。単純にそれが怖くて臆病風に吹かれてんのよ!」
豪快に笑う船長とは反対にあせたのは乗組員たちだ。
船のトップである船長にそんなことを言われて、あせったように口を開く。
「船長!俺たちは別に・・・っ!」
弁解しようと詰め寄ってくる船員たちに、猫の子でも追い払うよう手を振って船長は言葉をつづけた。
「俺たちは海専門だ。海のことじゃだれにも負けねぇ自信はある。だが、陸のことは範疇外だ。お前さんは逆だろう?」
「まぁな」
とりとめのない話に聞こえるが、なんとなく話が見えてきた。
ユーリはロープをほどく手を止めると、不敵に笑う男を見返した。
それを見て、男はさらに笑みを深くする。
「なら一つ協力と行こうじゃねぇか。俺らはあんたを送って、市民を避難させる。海のほうが安全だからな」
「で、俺には陸のごたごたを片づけて来いって?平等性に欠けてねぇか?」
別に条件を拒否するつもりではないが、ただの旅人一人に対する条件にしてはきつすぎやしないかと、ユーリは苦笑して肩をすくめて見せる。
だが、男は当然とばかりに言い放った。
「それくらいで十分だろう。あの方の養い子ならな」
男の言葉に、ユーリは息をのんで目を丸くする。
その表情を見て気を良くしたのか、男は大きく声を張り上げた。
「野郎ども、全速前進だ!住民の救助に向かう!」
船長の指示が出たならば、船に乗る男たちに否やはない。
船はすぐさま、ノードポリカに向かって走り出した。
ポカンとしていたユーリも、男たちが動き出したのを機に我に返る。
こんなときだというのに、笑みがこみ上げてくる。
どこにあっても、ベリウスが自分を支えてくれている。
ユーリはそっと自分の背に手をやると瞳を閉じた。
陸はもう目の前だ。
もうすぐにそちらにつくというとき…陸地から立ち上る煙が見えた。
風にのって漂ってくる焦げた匂い。
胸がざわめく。
船に乗っていたほかの乗組員たちもそれに気付いたのか、ざわめき始める。
「おい・・・あれって・・・」
「火事・・・か?」
「馬鹿な。あそこは戦士の殿堂の街だ」
「だが・・・」
信じられない思いで、船を走らせる。
だが、徐々に肉眼でも確認できるようになった街。
その惨状は皆の否定したい気持ちを裏切るものだった。
逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえ、魔物の雄叫びすらまじる。
煙の出所は、ノードポリカの象徴ともいえる闘技場からで、その焼け焦げた匂いは近づけば近づくほど濃さを増し、鼻をつきさす。
「どういうことだ・・・?」
自分の育ての親の街、故郷ともいえる街の惨状にユーリは言葉を失う。
それは、船の乗組員らもおなじだったようで、誰もが言葉をなくしてただ立ち尽くすのみ・・・。
だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
ユーリはこぶしを強く握ると、船の船員に詰め寄った。
「おい!なんとか船をつけられないか!?」
「・・・この状況じゃ・・・」
「じゃあ、このまま見てろって言うのか!?」
「・・・・・・」
ユーリの剣幕に船員たちは気圧され、目をそらす。
その様子はもうすべてをあきらめているように見え、ユーリを苛立たせた。
「なら、小舟でも何でもいい。貸してくれ」
「あんた!一人で行く気か!?」
「あそこには恩人がいる。逃げるわけにはいかねぇんだよ」
ユーリは船員の答えも聞かず、船の横に設置されている救命用のボートに近づく。
そしてテキパキとくくってあるロープを外し始めた。
船員はそれを止めることもできず、仲間と顔を見合わせるばかり。
そこへ、ひと際野太い声がかかった。
「そんな小舟じゃ陸地まで行くのに時間がかかるぜ」
声をかけられたユーリは作業の手は止めないまま、声の主に目をやる。
潮風にあたり、ぼさぼさな髪。
筋骨隆々とした体つきにまとった服は所々が擦り切れて、この男がどれほどこの海ですごしてきたのかを窺わせる。
おそらく船長だろうその男はユーリにニヤリとした笑みを向けた。
「おせぇのなんかわかってる。けど、いかねぇよりはましじゃねぇか?客が乗ってる船をあんなとこにつけられねえっていうあんたらの事情もあるだろうが、俺には俺の事情がある」
挑戦的に睨みつけるユーリ。
だが、船長は気分を害するどころか、さも愉快といわんばかりに豪快に笑った。
「はははっ!!こいつらの陸に上がりたがらねぇ理由をそんな風に解釈してくれるとはありがてぇがな、こいつらは陸でのもめごとにゃ慣れてねぇ。単純にそれが怖くて臆病風に吹かれてんのよ!」
豪快に笑う船長とは反対にあせたのは乗組員たちだ。
船のトップである船長にそんなことを言われて、あせったように口を開く。
「船長!俺たちは別に・・・っ!」
弁解しようと詰め寄ってくる船員たちに、猫の子でも追い払うよう手を振って船長は言葉をつづけた。
「俺たちは海専門だ。海のことじゃだれにも負けねぇ自信はある。だが、陸のことは範疇外だ。お前さんは逆だろう?」
「まぁな」
とりとめのない話に聞こえるが、なんとなく話が見えてきた。
ユーリはロープをほどく手を止めると、不敵に笑う男を見返した。
それを見て、男はさらに笑みを深くする。
「なら一つ協力と行こうじゃねぇか。俺らはあんたを送って、市民を避難させる。海のほうが安全だからな」
「で、俺には陸のごたごたを片づけて来いって?平等性に欠けてねぇか?」
別に条件を拒否するつもりではないが、ただの旅人一人に対する条件にしてはきつすぎやしないかと、ユーリは苦笑して肩をすくめて見せる。
だが、男は当然とばかりに言い放った。
「それくらいで十分だろう。あの方の養い子ならな」
男の言葉に、ユーリは息をのんで目を丸くする。
その表情を見て気を良くしたのか、男は大きく声を張り上げた。
「野郎ども、全速前進だ!住民の救助に向かう!」
船長の指示が出たならば、船に乗る男たちに否やはない。
船はすぐさま、ノードポリカに向かって走り出した。
ポカンとしていたユーリも、男たちが動き出したのを機に我に返る。
こんなときだというのに、笑みがこみ上げてくる。
どこにあっても、ベリウスが自分を支えてくれている。
ユーリはそっと自分の背に手をやると瞳を閉じた。
陸はもう目の前だ。
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