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TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。 出版元・製作元様方には一切関係ありません。 また、突然消失の可能性があります。 嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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「ごめん…シンク」

しゅんとうなだれた様子でルークはシンクを見つめる。
タタル渓谷でシンクはアッシュたちに会うなどこれっぽっちも考えていなかった。
むしろ、これ以上会うことはあの察しのいい死霊使いにもヴァンにも自分たちの目的がばれかねないので、控えておこうと話したばかりだった。
シンクは思わず出そうになるため息をぐっと堪えた。
会ってしまったものは仕方がない。どこかで感づかれようとも最終的に目的が達せられればいいのだ。

「…あいつら、ちゃんと動いてるみたいだね。この分なら、一週間もあれば上手くいくかもしれない」
「え?そっか…上手くいくかな…」
「ヴァン次第だね」
「…師匠…」

ルークはぐっと拳を握った。
そして、迷いを振り切るように一度瞳を閉じてぐっと前を見た。
…もう迷うわけにはいかないのだ。

あなたが俺を裏切り捨てた。なら…今度は俺があなたを…



「タルタロスは今日中には仕上がる。その後はアルビオールをタルタロスにのせてアグゼリュス崩落後から地核に下りる」
「譜術障壁は大量なエネルギーを消費する。だから、チャンスは一回きりじゃ」
「今のうちに行きたいところ、やりたいところに行って来るといい」

振動測定器を持ち帰った面々は、シェリダンの集会所にて今後の作戦の説明を受けていた。
チャンスは一度きり…その失敗が許されないという言葉に、全員が表情を引き締める。

「そっかぁ…作戦始まったらアルビオールも使えないんだね…」
「アルビオールがなきゃ、こっちに帰ってこれんからのぅ…脱出時はタルタロスに書いてある譜陣の上昇気流を利用して戻ってくるんじゃ」
「…一応準備は整っています。明日までは自由行動としましょう」

全員が思い思いにどこかへ出かけていく。
ガイはイエモンらとドッグの方へ…
ティアはミュウと海のほうへ
アニスはイオンと
ジェイドも早々にどこかへ歩いていった。

残ったのはアッシュとナタリア。
お互いに、言葉はなかった。
海の見える広場まで出て、そこから海を見下ろす。

「……ルー……アッシュ、あのときの約束を覚えていまして?」
「…死ぬまで一緒にいてこの世界を変えよう…か」
「ルーク…!」
「今の俺はルークじゃねぇ」
「いいえ…!いいえ!!あなたは…!」
「じゃぁお前は“あいつ”は何だというんだ?」

その言葉に、ナタリアは息をのんだ。
アッシュがルークなら、ルークは何?
今更ながらに突きつけられた事実。
ナタリアはそれにとっさに答えることができなかった。
アッシュはアッシュ、ルークはルークだと頭ではわかっているはずなのに…。

アッシュ自身も自分が発した言葉が信じられない思いだった。
自分は確かにレプリカを恨んでいた…そのはずだったのに。

アッシュは舌打ちをするとその場から立ち去る。

転機を迎えようとしている世界を、夕日だけがいつもと同じように照らしていた。



まだ薄暗い中、シェリダンへと向かう者たちがいた。
近くの海岸に停泊した船の中から落りてきたのは、神託の盾の兵士。
その最後尾には二つの人影。

「シェリダンを包囲しろ。夜明けとともに襲撃。アッシュを拘束しろ」
「閣下。他の奴らは…」
「…メシュティアリカとガイラルディア、導師は拘束。後は始末して構わない」
「了解いたしました」

命令を達成するためにかけていくリグレットを見送り、ヴァンは薄く笑みを浮かべた。

「役に立たないレプリカ風情が、私をあざむこうなど…愚かな」

シンクが影で動いていることなど、ヴァンにはわかってきた。
屑のレプリカが集まったとて何かできるわけではないだろうと黙認していたが、予想以上に厄介なことをしでかしてくれた。
シンクやラルゴはまだ利用価値があると思っていたが、仕方がない。

「計画を邪魔するものは誰であろうと消えてもらう」



「シンク、起きろ!!」

ラルゴの鬼気迫った声に、シンクは目を覚ました。
辺りを見回すとシェリダンの周りを不穏な空気が取り囲んでいた。

「ヴァンが動いたか…」
「レンティス、起きろ」
「ん…ラルゴ?」
「事情が変わった…急ぐぞ」
「…うん」

寝起きながらも、嫌な空気を感じ取ったのかすぐに立ち上がった。

「ラルゴは街に行って、守りが薄い出口を一個作って。後はキムラスカに伝令を」
「わかった」
「レンティスは僕と港に行くよ。タルタロスを確保しておかないと、どうにもならない」
「わかった。…ラルゴ、気をつけてな」
「あぁ。お前もな」

まだ薄暗いあたりに紛れて、三人は走り出した。



「皆さん、起きてください!」
「さっさとしろ!殺されてぇのか!?」

怒声により起こされた一同が目にしたのは、シェリダンを囲む神託の盾兵。
そこへイエモンが走ってきた。

「神託の盾の連中が攻めてきておる!このままでは…。わしらがここを抑える!お主たちは港へ向かえ!」
「でも…!民を放っては!!」
「ここで捕まっては全てが無駄になる!行くんじゃ!!」
「そうよ、ナタリア。私たちは私たちにしかできないことをしなくては」
「わかりました…どうか、御無事で!」

迷いを振り切るように走り出すが、その足元を銃弾が穿つ。

「行かせるわけにはいかない。閣下の邪魔をするものは、誰であろうと許さない」
「教官!」
「テメェに用はねぇ!どけ!!」

アッシュの剣がリグレットを狙い、わずかに気が緩んだところをティアのナイフが襲う。
しかし、そのナイフもすんでのところでかわされてしまう。

「甘いと言ったはずだ、ティア!」
「くっ…」
「今じゃ、タマラ!」
「はいよ!」

にらみ合いの状態だったところに、火炎放射器がリグレットめがけて放たれる。さすがにこれはリグレットも逃げるしかなかった。
その隙に、アッシュたちは人々に導かれ、手薄なところから町を出て、港へと向かった。
街では悲鳴怒号が飛び交っている。
ナタリアは苦しそうに顔をゆがめ、港に向かって走った。
人々の必死の後押しを受けて立ち止まるわけにはいかないから。



港に着くと、シェリダンの町とは打って変わって、静寂が辺りを包んでいた。
それに、なにやら白い霧のようなものが港全体を覆っている。
首をかしげる一同に、何かに気づいたジェイドが声を上げた。

「これは…伏せなさい!睡眠煙幕です!」
「何!?何とかならねぇのか!?」
「譜術で吹き飛ばします!」

ジェイドの譜術によって視界が良くなると、あちこちに神託の盾兵が倒れているのが見えた。

「これは…シェリダンの人たちがやったみたいだな」

あたりを一通り見回し、起きている人間がいないか確かめていると、今まで隠れていたのか、アストンらが倉庫の影から姿をあらわした。

「おお、あんたたちか!早く!追っ手が来る前にタルタロスに乗り込むんじゃ!」
「わしらの最高傑作だ。頼んだぞい」
「はい。必ず成功させて見せますわ!」

アストンらにせかされてタルタロスに乗り込む。
そして、リグレットらが追いつく前にタルタロスは港を離れた…。


これで安心して地核を静止できる。
…そう思っていた。
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