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TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。 出版元・製作元様方には一切関係ありません。 また、突然消失の可能性があります。 嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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地核の中は予想以上に優しく、ルークたちを包み込んだ。
しかし、シンクはもう意識がないのか、何も言わない。
ルークは朦朧とする意識の中、シンクの体だけをしっかりと抱きかかえていた。

…ルーク…我が片割れよ…我が声に応えよ…
…だれ?
…ルーク…
おれ、ルークじゃない
“聖なる焔の光”よりも我に近きもの。第七音素の子。我をこの永遠回帰の牢獄から解放してくれ…
…おれ、もう動けないんだ
そこから手を伸ばすだけでよい。力を貸して欲しい…

声はどこか懐かしい感じのする声で、悪い感じはしない。
朦朧とした意識の中、ルークは言われるがままわずかに左手を動かした。
右手ではシンクを離さない様に掴んだままで。
すると、左手に何か硬い感触があった。気力を振り絞って目を開けると、そこには見たことのない剣がある。

…なんだ…これ…
そのまま手を…手を伸ばせ…我を解放してくれ…

ルークはゆっくりとだが手を伸ばす。
そして、その先の剣が淡く光り、そこから譜陣が広がるのが見えた。
それからしばらくして譜陣は消え、ルークは今度こそ役目は終わったのだと、音素の流れに身を任せ、瞳を閉じた。
しかし、声はなおもルークに呼びかける。

我が魂の片割れよ…礼を言う。これで、音譜帯に返ることができる…。
…そっか。あんたは自分の居場所に帰るんだな
おまえは帰らずとも良いのか?
いいんだ。俺の居場所はシンクのとこだから…だからいいんだ。
よいのか?今なら戻してやることもできる
…うん。もう一人は嫌だし。

全く帰りたくないといえば嘘になる。
ガイたちに酷いことも言った。本当はガイが自分をルークの身代わりとしてなんて見てないってわかってたのに。
ラルゴともあの時が最期になった。
もう一度あって、話したい、謝りたいという気持ちがある。
でも、一番の望みはもう叶わないから。
だから、もう戻らなくていいんだ。

…もうちょっと…一緒にいたかったな…シンク…

希薄になっていくルークの存在に、声の主…ローレライは言った。

我の見た未来をわずかにも曲げたおまえたちに敬意を払おう。
おまえの本当の望みを、我はかなえよう……


あたりは眩い光に包まれた。



アルビオールで脱出した一同はアクゼリュス崩落跡を暗い表情で見つめていた。
地核の振動停止作戦は上手くいったはずなのに、目の前で消えた存在が悲しかった。
彼らの残した言葉が、彼らの苦しみと自分たちの罪を表しているようで、痛かった。

…もっと話し合えば、分かり合うことはできたのか?ルーク…

どうしてあの時置いていってしまったんだろう。
アクゼリュスの崩落もレプリカという事実も、一番苦しんだのはあいつだったはずなのに。

後悔しても仕方がないことだとわかっているのに、頭ではそればかり考える。
みな遠からず、同じようなことを考えているのだろう。
誰も言葉を発さず、その表情は苦痛に満ちていた。
そのとき、魔界の景色が一変し、紫の大気が消え去った。
そして次の瞬間には、崩落跡から大きな光の筋がすさまじい速さで天に伸る。

「…ッ…何だあれは!?」
「第七音素だわ…それも大量の!」
「…ローレライ…?」

アッシュが呟いた言葉に、一同は呆然とそれを見上げる。
美しい金の光の帯は雲をもつきぬけ、空へと消えてゆく。
同時に、外殻大地がいっせいに降下を始めた。

「何で!?どうして!?」
「わかりません…ですが、あれがローレライだとしたら、ユリアとの契約が無効になったのかもしれません。外殻大地もプラネットストームも、ユリアがローレライと契約することでできたと言われていますから…」
「じゃぁ、イオン様!外殻大地落ちちゃうんですかぁ!?」

慌てるアニスをよそに、イオンは落ち着いた笑みを見せる。
そして、変化するこの世界を目に焼き付けようとするかのように、ただじっと窓の外を見ていた。

大地の振動がおさまり、再び外を見ると、少しも変わらぬ青い空。
念のため、アブソーブゲート上空へと行ってみると、本当にプラネットストームは停止しているようで記憶粒子の噴出は見られなかった。
変わっていないようで、大きく変化した世界。

「…馬鹿な…こんなこと…認めない…」

いつの間に意識を取り戻したのか、ヴァンが痛む傷を抑えながら立ち上がった。

「兄さん、やめて。もう終わったのよ…世界は変わったんだわ」
「ありえない…外れたというのか、ユリアの預言が。惑星の記憶が…」
「どうして認めないの?預言に縛られない世界が兄さんの望みだったのでしょう?ユリアの預言は外れ、世界からやがて預言はなくなるわ。これからは人が自分で未来を拓くのよ」
「馬鹿な…世界は惑星の記憶に縛られてなどいなかったのか……?」

信じられないというようにヴァンは呆然と呟く。

「俺はあんたの言う惑星の記憶がどんなもんなのかしらねぇ。だが、あんたの知ってることと、今この世界の現実の違いが真実じゃねぇのか?」

アッシュの言葉に、ヴァンは自嘲気味に笑うと崩れ落ちるようにシートに座った。

「預言は未来の選択肢の一つ……預言に縛られない世界……」


あなたたちが、創ってくれたんですか?シンク、ルーク…


「イオン様、泣いてるんですか?」
「え?」

イオンはその時自分の目から涙がこぼれている事に気づいた。
手のひらに落ちた涙を見て、イオンは薄く笑みを浮かべる。

悲しいけれど、そればかりではない。心にあるのは未来への希望。
そのためにはまず世界の人々にこの現実を説明し、理解を得なくてはいけない。

「行きましょう。世界を立て直すのが僕たちの仕事です」

その言葉に、暗い面持ちだった皆が頷くのを見て、イオンは笑みを浮かべた。




「…なんか、すげぇ疲れた」
「仕方ないじゃないか。武器もお金も何も持ってなかったんだし」
「いいよなぁ…闘うとき素手だった奴は」
「自分がなくしたんでしょ」
「ちがうって!なかったんだ!!」
「はいはい」
「くっそー…」

広々とした平野を歩く、赤と緑。
時折、モンスターを相手にしては戦利品を得て、ようやく生活できるくらいは貯まったところ。

「なぁ…これからどうする?」
「さぁ。行くとこもないね」
「じゃぁさ、しばらく世界を回ってみようぜ!」
「今更?もう十分回ったでしょ」
「いいじゃん!おまえだって全部知ってるわけじゃないだろ?」
「まぁ、そりゃそうだけど…」

戸惑う緑の手を赤が強引にひく。

「じゃ、行こうぜ!シンク!!」
「もう…わかったよ、レンティス」


END



☆これでおしまいです。
 え?ローレライが万能すぎる?
 いやぁ・・・未知の存在ですからこれくらいいいかなと。
 決して話をこじつけるために使ったたりなんてしてませんよ(嘘)
 ・・・はいすみません。水○黄門の印籠ばりにローレライを使いました。
 困ったときのローレライ頼み。
 こんなのですがたのしんでくれてたらいいなぁ。
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無題
いきなりお邪魔してすいません~!!!  ホントいきなりでしたね~☆   わーっ 全部読ませて頂ました♪  こんなルートがあったらいいな~と☆  感動できますよぅっ(泣)  いやぁ~ シンクと一緒に旅に出たいですっ!!  かなりシンクの見方が変わったような・・・(笑)  シンルク万歳ですっ!! では、乱文失礼して☆
カイ 2006/05/02(Tue)20:23:57 編集
はじめまして
コメントありがとうございます!返信が遅くなって申し訳ないです。
今パソコンが利用できる環境になく、その上携帯で返そうにも返信のしかたがわからず…
すいません、携帯では記事の書き込みしか出来ないんです・・・へたれですいませんすいません。
シンルク読んでくださってありがとうございます。元は友人にメールで送ったほんの一文がのせられるままに書いてたらこんな長々としたものに・・・
元の題名はれぷりかんというふざけた題名だったのを、これではまずいと必死に考え直した記憶があります(ぇ)
昔は純粋にシンクが好きだったはずなのに、どうせなら一緒に旅させたらと妄想が膨らみ、気付けばこんなことに・・・。
私の独断と偏見のシンルクで楽しんでいただけたのなら嬉しいです。
これからもシンルクをお願いいたします(ぇ)
では、ありがとうございました。
【2006/05/02 21:37】
無題
はじめまして、こんばんは!!時雨と申します。

この作品を見て好きなCPランキングが大変動しました(笑)最後の「もらっていくから」とかちょっと涙でてくる始末(泣

切ない、でもそこがいい!!ホント、シンルク最高ですね♪

今連載中のアシュルクも楽しいですが、おわってしまったらまたシンルクやってほしいです☆

それでは、失礼しました!!
時雨 2006/05/10(Wed)21:56:41 編集
はじめまして!
コメントありがとうございます。
シンルクにはまっていただき、ありがとうございます(ぇ)
しかもこれに感動していただけるなんて・・・ありがとうございまーす!
アビスでブログを立ち上げた甲斐がありました。
一応、終わりにはしましたが、そのうち番外編みたいな感じで何か書いてみたいなぁと思います。
ラルゴと再会とか、ジェイドに見つかり、陛下に遊ばれる二人とか・・・
ひょろっと書いてたら、またよろしくお願いいたします。
では、書き込みありがとうございました。
【2006/05/11 21:48】
勾夜
もう最高の一言しか出てきません…!!ボロ泣きしました!
シンルクはマイナーなカプなので、まさかこんな素敵な小説を書かれる方がいらっしゃるとは…っ!神とお呼びしてもよろしいでしょうか!?(やめい)

とにかく、本当によかったです!これからも頑張って下さい!
NONAME URL 2006/05/22(Mon)17:04:52 編集
お返事遅くなり、申し訳ありません
わわ。そんなに褒めていただけて嬉しいです!
でも、あらためて見返すと・・・こんな文章ですいません。いろいろぶっ飛んでてすみませーん!!
・・・と言う気持ちになります(ぇ)
そんな神なんて恐れ多い。むしろ穴蔵から時折手だけです感じで(何)

確かにシンルクというマイナーカプ・・・欲望のままに綴ったこれで、楽しんでいただけて、とても嬉しいです。
こんなブログサイトにわざわざ足を運んでくださって、感想を書いていただけるなんて、もう幸せですv
思いつきで続きだか、番外だかを書こうかと思いますので、そちらも楽しんでいただけたらなぁ、と思います。
では、書き込みありがとうございました。
【2006/05/27 04:17】
やばいっす
最高ですっ
全然気にしてなかったシンルクが一気に好きになりましたっ!!
ところで、ルークの名前、レンティスはレプリカンティスから来たんですか?
椎羅 2006/05/26(Fri)23:06:08 編集
はじめまして
書き込みありがとうございます。
シンルクが意外に評判よくて、びっくりしている今日この頃・・・
マイナーでありえな妄想なんですが、楽しんでいただけたみたいで嬉しいです。
レンティス・・・アレはですねぇ、名前をつけるのに困り果てたので、友人につけさせたんですよ。確か、音楽用語から来てるはずっす。
ちなみに意味は覚えてないです(ぁ/ゴメン友よ)
レプリカンティスとレプリカ二人組みをかけて、二人をれぷりかんとは友人間で呼んでますが(笑)
そんなこんなで、れぷりかんとレンティスは決定されました。
【2006/05/27 04:32】
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