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TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。 出版元・製作元様方には一切関係ありません。 また、突然消失の可能性があります。 嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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「シンク…ごめん」

残っていろといわれていたのにでてきた挙句、顔も見られて戦況をかき回してしまったルークは、部屋に帰ってきて一番に頭を下げた。
怒られるとか、呆れられるとか、また捨てられるとか…嫌な方向にばかり考えが回り、怖くて顔が上げられない。
しかし、頭の上に降ってきた声は意外なものだった。

「謝ることないよ。むしろこれで動きやすくなった」
「え?」
「どういうことだ、シンク?」

不信そうなラルゴにシンクは笑う。

「ねぇ、ラルゴ。アンタだってヴァンの計画にこころから賛成してるわけじゃないだろ?」
「…何を…」
「ヴァンしか預言を覆そうとするやつが…いや、覆せそうな奴がいなかったからヴァンについた。違う?」

ラルゴは言葉を詰まらせる。
確かに、シンクの言ったとおりであった。
預言は憎い。しかし、ヴァンの計画は極端なものであった。
心底それに賛成することはできない…しかし、預言に支配された世界が存続され続けるぐらいなら、とヴァンの手をとった。
だが、なぜ今更それをシンクが言うのか。
シンクはこの世界にも自分にも意味などないと言ってはいなかったか?

シンクはそんなラルゴの思いに気づいたかのように笑って言った。

「ちょっと気が変わったんだ。ねぇラルゴ…預言に支配されない世界じゃなくて、預言が消え去った世界を見たくない?」
「預言が消え去った世界…」
「そう。預言がなくて焦る人間たち…見たくない?」
「しかしどうやって…」
「預言に縛られてない存在がいるじゃない」

シンクの口元に浮かぶ笑みを見て、ラルゴは理解した。
シンクから視線を逸らすと、ルークをまっすぐに見る。

ヴァンによって作られたアッシュの…いや、“ルーク”の完全同位体。
アクゼリュスで預言を覆すための道具として、あそこで滅ぶはずだった。
しかし、彼はそれすらも覆し、生き残った。
預言を捻じ曲げたのだ。
預言が絶対とされたこの世界では、そのわずかな差がとても大きなものとなる。

「な…何?」

じっと見つめられ、居心地悪げにルークが眉をひそめる。
不安げに見上げる彼の瞳が、小さな子どもそのもので、ラルゴはつい彼の頭を撫でてしまう。
ラルゴの行動に戸惑いの視線を向けるものの、心地が良いのかルークは大人しくそれを受ける。

「シンク」
「何?」
「話に乗ってやる」



「どういうことだ!?」

第四譜石の丘まで何とか逃げてきたところで、アッシュは怒りを露にして叫んだ。
しかし、その問いに答えられる人間などいない。

「…あの様子では…ルークは自分からシンクたちに従っているようね」
「俺みたいに、カースロットで操られてるってわけじゃ…」
「それはありえません。カースロットで操ったものは人形のようなもの。会話や思考は持ちえませんから」
「じゃぁ…やっぱりルークは…」

ガイは悔しそうに唇を噛んで俯いた。
皆が言葉をなくす中、ジェイドは一つため息をついた。

「……全く……問題ばかり起こす子どもですね」
「…なんだと?」
「言葉どおりですよ。彼は問題しか起こさない。まぁ、もう敵なのなら関係ありませんが」
「テメェ…!」
「ガイ!ジェイドも!やめてください!」

ジェイドの胸倉を掴みあげ、睨みつけているガイをイオンが制止する。
しかし、ガイはジェイドから手を離さない。

「ジェイド。ルークの行動は彼の責任ばかりではありません。少なからず、僕らにも咎はある」
「…まぁ、そうですね。否定はしません」
「ならば、僕らは僕らの罪を償うべきです」

ガイはイオンのその言葉を聞いて、ようやくジェイドを掴んでいた手を離した。

「けれど…どのようにして償えばよいのかしら…」
「…とにかく、セントビナー崩落の阻止だ」
「ご主人様をまた見捨てるんですの!?」
「屑がシンクと行動するなら、必ずまた姿を現す。その時に嫌でも連れ戻せばいいだけだ」
「アッシュ…お前、ルークが憎いんじゃないのか?」

アッシュの言葉にガイは目を見開く。
その明らかに意外だというガイの様子に、アッシュは眉間の皺を更に深くする。

「あの野郎がこれ以上利用されても面倒だ」
「…何でもいい。ルークを連れ戻すためなら、気に入らないが協力してやるさ」

ガイと少しの間睨むように視線を交わした後、アッシュはその視線をジェイドに向ける。

「グランコクマにいく。ジェイド、案内しろ」
「はいはい…わかりましたよ」


双方は別の道を歩み始める。
その先は一つか…あるいは…

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