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敵を目の前にしているというのに、衝撃でぼうっと突っ立ったままでいる『ルーク』とアッシュに、ルークは苦笑する。
・・・まぁ、もう一人レプリカが出てきたらびびるのはわかるけどさぁ・・・いつまでも固まっててもらっちゃ困るんだよな。
ルークは自分に向かって振り下ろされたラルゴの鎌をわざと正面から受け、その反動を利用してラルゴとの距離をとった。
「おい!いつまでも突っ立ってないで、働け!」
「え・・・あ!」
「まて!テメェは誰だ!?」
「そんなことは後から話す!今はそんな場合じゃないだろう!?」
「クソッ」
アッシュは悔しそうに顔をゆがめたが、ルークのいうことがもっともであると判っているのだろう。
リグレットらのほうに剣を抜いて、向かっていく。
「ようやく来たか、アッシュ。だが、もう遅い」
「何だと!?」
リグレットに今まさに切りかかろうとしたとき、地核のほうより上ってきた光が、リグレットの横に収束した。
とっさに危険を感じたアッシュは、その光から距離をとる。
だが、その光の中から現われたのは・・・
「・・・ヴァン・・・!」
「おかえりなさいませ、閣下」
「あぁ」
ローレライを取り込み、その癒しの力で復活を果たしたヴァン。
姿かたちは何も変わらないのに、どこかその気配が前とは違う。
そこにいるだけで感じる威圧感。
アッシュらは、憎々しげにヴァンをにらみつけた。
だが、蘇ったヴァンに対して初めに声を発したのは、アッシュでも、『ルーク』でも、ティアでもなく、ラルゴとの立会いの手を止め、悠々と一歩前に進み出たルークだった。
「お久しぶりです、ヴァン師匠」
「あぁ、ルークか」
・・・あぁ、やっぱりあなたは知ってるんですね。ローレライを取り込んだあなたは、俺が過去に戻ってきたのを知っているんだ。
じっと、無言で見詰めあう。
ヴァンの瞳にも、ルークの瞳にも迷いなど見られない。
「・・・答えは否だろうが・・・一応訊いておく。私と共に来る気はないか?ルーク」
「知ってて聞かないで下さい。もちろん、否です」
「ふっ・・・そうだな。ならば、いずれ決着を付けよう」
「はい」
「・・・楽しみにしている」
ヴァンは、リグレットらを伴いこの場を後にした。
過去であったならば、ここで命を落とす筈であったラルゴも、ヴァンと共にこの場を去る。
この時点から過去は過去でなく、違う道を完全に歩み始めたのだ。
残されたのは、事情を知らず戸惑っているかつての仲間たち。
ルークは、ふわりと微笑んでみせる。
「・・・混乱するのはわかりますが、『ルーク』、まずはゲートをとじておきなさい。気が変わったヴァンたちが邪魔しに戻ってこないとも限りませんからね」
「あ・・・あぁ、わかった」
不信の目をルークに向けながらも、『ルーク』はゲートを閉じるべく、更に下層へと向かう。
それにティアとガイがついていき、残るメンバーはルークへと不信と疑惑の目を向けている(といっても、ジェイドはのぞくが)。
・・・やっぱ、こういう反応だよな。
予想はしていたが、実際にこうも不信がられていい気がするものではない。
とくに、アッシュからむけられる、不信とも嫌悪の視線とも思える視線は、ルークには痛かった。
だが、自分の目的をアッシュにだけは悟られるわけにはいかないのだ。
アッシュを生かしたいなんていったら、余計なお世話だとかなんとかいろいろ言われるのが落ちだろうし。
俺の邪魔は誰にもさせない・・・たとえ、それがアッシュ自身でも