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TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。 出版元・製作元様方には一切関係ありません。 また、突然消失の可能性があります。 嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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結局ユーリに用意されたのは黒い鎧。
ジュディスよりはやや軽装ではあるが、騎士のような装いだ。
しかし、主に仕え剣・盾となる騎士と違い、黒の鎧は闇を歩む自分にふさわしい。

ジュディスとベリウスが満足そうに笑うのをよそに、ユーリは自嘲する。


こうして、ドラゴンに乗った白騎士と黒騎士は各地を飛び回ることとなった。













「黒騎士?」

竜使いと呼ばれる存在が魔導器を壊していたという噂とともに、それに黒衣の騎士が加わり、ともに行動している・・・という話が聞かれるようになった。
その噂はユーリを探して旅を続けるフレン・エステルたちの耳にも入ってきた。

「あの時、魔導器を壊していったのは竜使いというもので間違いありません。それに、黒衣の騎士が加わり、最近は二人で行動している・・・ということのようです。」
「まさか・・・それが?」
「ええ、ユーリである可能性があると思います」

そう話すフレンに、エステルも頷く。
彼らの中では、その黒騎士を追うことに決定したようだ。
しかし、相手はドラゴンに乗って世界を飛び回る竜使い。
それを地上からどう追うというのだろうか・・・
その様子を数歩離れた所から見ていたレイブンはこっそりとため息をついた。

あの時、アレクセイから言い渡されたのは極秘任務・・・という名の子守り。
よくいえば王族警護とその監視・・・だが、どうにもそうとは思えない。

とりあえず、あてもなく竜使いのうわさを頼りにそれを追いまわるのは勘弁願いたい。
口を出すのはためらわれるが、これを言わないと自分の身が危険だ。
意を決して、レイブンは口を開いた。

「竜使い追うってったって、どうするのよ。向こうはドラゴンよ?徒歩と船でどうやって追うのよ。おっさんくたくた~」
「じゃ、おっさんはここにいたら?・・・って言いたいところだけど、まっとうな意見ね。空と地上じゃ追うにしても限界があるわ。おまけにすぐに逃げられる」
「そう・・・ですね。どうしたら・・・」

レイブンからの意見に、リタの意見。
竜使いを追いたい気持ちは大きいが、そのすべがない。
エステルはギュッと手を握りしめうつむく。



「家でもわかればいいんだけど・・・」



ポツリ、とそう呟いたのはカロル。
何気ない一言だったが、フレンははっと顔をあげた。

「家・・・拠点にしている町がわかれば・・・」
「で、でも・・・点々としてるかもしれないよ」

確かに、一つのところにいるかは分からない。
だが、場所を絞ることはできるのではないか・・・

フレンは地図を指し示し、一つ一つ確認するかのように話し始めた。

「帝都・・・は警備上潜伏は無理。同理由でアスピオもでしょう。
 ノール港・トリム港は先日騒ぎを起こしたばかりで避けるでしょうし・・・」

順々に指示しながら、フレンの手が一つのところで止まった。

「ヘリオード・・・拠点ではないでしょうが・・・ユーリが黒騎士であればここに姿を現すかもしれません」
「どうしてそう思うんです?」

首をかしげるエステルに、フレンは言葉を詰まらせる。
あまり・・・彼女に聞かせたい内容ではないのだ。
だが、口にしないわけにはいかない。

「この都市は帝国が開発を進めている都市なのですが・・・とある人物によって、私物化されつつあるのです。」
「都市を・・・私物化?誰がそんなこと・・・」

「キュモールです。執政官代行として赴任してますが・・・最近の彼のやり方は目に余るものがあります。しかし・・・」
「貴族でだから手が出せないって?」
「・・・そのようです」

クズね・・・とリタが吐き捨てる。
その通りだ、とフレンは思う。
いくら公平な世を目指しても、高い障害が目の前に立ちふさがる。
その壁に爪を立てるばかりで壊すことも乗り越えることもできない・・・それが今の自分なのだ。
だが、ユーリは違う。


「本当に、ラゴウを裁いたユーリなら、この事態を見過ごすことはしないでしょう。次に彼が狙うとしたら・・・ここに来るはずです」

そう言ってフレンはぐっと唇をかみしめる。
ユーリであってほしくない。
だが、そう思う心と、こんなことをやりきるのはユーリしかいないと思う心とがせめぎ合う。

でが、いかないわけにはいかない。
私的に人を裁くなんてあってはならないのだ。


今度こそ、君を止めてみせるよ。





そう決意を決めたフレンを、レイブンはじっと見てやがて身をひるがえした。
子守りを押し付けた相手に、このことを知らせておかねばなるまい。
その表情はどこか面白がっているように見えた。
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