TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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「お帰り、ジェイド」
ジェイドがアッシュと『ルーク』の診察を終えて、宿屋に戻ると、実体化したルークがジェイドを迎えた。
それを見たジェイドの口から、深いため息が漏れる。
「・・・なんだよ」
「あなたは少し警戒でもしたらどうですか。入ってくるのが私でなかったら、どう説明するつもりです?」
「だって、ジェイドの部屋だし、誰も入ってこねぇだろ?」
「入ってこないとは限りませんよ。自由に出入りは出来るわけですし?・・・何年たとうと、そのお気楽ぶりは変わってないようですねぇ」
「ほっとけ!」
顔をわずかに赤くして怒るルークに、ジェイドは肩をすくめ、部屋の中に置かれた椅子に腰掛けた。
一息つき、ルークのほうに視線をやると、ルークはどこか思いつめたような表情で、俯いている。
急かすでもなく、ルークが何か言葉を発するのを待っていると、やがて静かにルークが口を開いた。
「なぁ、ジェイド。・・・アッシュ・・・大丈夫だったか?」
かつての自分である『ルーク』ではなく、アッシュの心配をするルークに、いつものジェイドならからかいの言葉の一つくらいかけるものだが、それをすることなく、真剣な面持ちで言葉を返す。
「アッシュは何の問題もなく、健康体です。ここ最近、彼に起こっていたと思われる、大爆発の兆候すらなくなっているようです」
「そうか・・・よかった」
ほっと肩をなでおろし、微笑むルークの側に、ジェイドが椅子から立ち上がり、詰め寄る。
「では、今度はこちらから質問させて頂きましょう。・・・ルーク、あなたの目的はなんです?」
ジェイドの言葉に、ルークは顔を引きつらせる。
何を言ってるんだよ、とごまかしたくとも、彼の何をも見通すような紅の瞳がそれを許さない。
どれほど、にらみ合いの状態が続いただろうか。
先に諦めたように肩の力を抜いたのは、ルークのほうだった。
「あなたは利口すぎたんですよ、ルーク。突然こちらに飛ばされたにしては適応力がありすぎる。それに、あなたの行動には迷いがない。・・・何か目的があってここまで送ってもらったというのが妥当でしょう。・・・こんな非常識なことが出来るのは・・・ローレライ、ですかね?」
「・・・そこまで判ってりゃ、俺に聞くことなんてないんじゃねぇの?」
「生憎と、あなたの考えまではわからないもので。理論的に行動しているわけでもなく、利己的でもない。私には理解できませんから」
「・・・わるかったな、理論的に行動できない単細胞で」
「おや、誰も単細胞とは言っていませんよ?」
「はぁ・・・もういいよ。・・・ジェイドはさ・・・俺の行動は利己的じゃないって言ったけど、俺の目的は全部、自分のためだ。俺は、俺のわがままを現実にするために、ここに来た」
ルークは一旦言葉を切ると、自分の手のひらを見つめる。
ローレライを解放するときに落ちていった地核。
その途中で触れた、アッシュ。
動かず、息もなく、体温もない、冷たい肉体。
・・・もう、あれを体験したくはない。
「俺は、アッシュを生き残らせるためにここに来たんだ」
言葉にすることで、一層強くなった思い。
ルークは、批判されることを覚悟して、まっすぐにジェイドを見つめた。
しかし、批判的なことを口にするかと思ったジェイドは、ルークの予想に反して、そうですか、といっただけだった。
そのジェイドの様子に不思議な面持ちで、ルークがジェイドを見つめると、やれやれといった様子で、再びジェイドが口を開いた。
「私に何を言ってほしいのか知りませんが、別に私はあなたを否定しません。私は自分のためにフォミクリーを作成した。その結果がこれです。私の理論がヴァンの計画の一端を担っている。」
「でも、それはあんたのせいじゃない。悪いのは理論でも機械でもない。それを使う人間だ。・・・そうだろ?」
ルークの迷いのない瞳が、彼がそれを本心から語っているのだと示す。
一番の被害者であろう彼が、フォミクリーの発案者であるジェイドを憎んでいる様子を見せない。
だからこそ・・・
「・・・だから私もあなたを否定しないのですよ」
「え?」
苦笑交じりに呟いたジェイドの言葉は、ルークには届かなかったようで、首をかしげている。
「何でもありません。とにかく、ヴァンの計画を阻止するという目的は同じであるなら、お互いに協力しましょうか。そのほうが効率がいい」
「・・・うん、そうだな」
「では、さっさと休みますよ。明日はバチカルです」
ルークはジェイドに急かされるようにして、ベッドに入った。
幸いにも、今回の部屋にはベッドが二つあったため、ルークも片方の寝台を借りることにする。
抱え込んでいた自分の目的を話せた事で、少しだけ心が軽くなったように感じながら、ルークは心地よい闇に沈んでいった。
ジェイドがアッシュと『ルーク』の診察を終えて、宿屋に戻ると、実体化したルークがジェイドを迎えた。
それを見たジェイドの口から、深いため息が漏れる。
「・・・なんだよ」
「あなたは少し警戒でもしたらどうですか。入ってくるのが私でなかったら、どう説明するつもりです?」
「だって、ジェイドの部屋だし、誰も入ってこねぇだろ?」
「入ってこないとは限りませんよ。自由に出入りは出来るわけですし?・・・何年たとうと、そのお気楽ぶりは変わってないようですねぇ」
「ほっとけ!」
顔をわずかに赤くして怒るルークに、ジェイドは肩をすくめ、部屋の中に置かれた椅子に腰掛けた。
一息つき、ルークのほうに視線をやると、ルークはどこか思いつめたような表情で、俯いている。
急かすでもなく、ルークが何か言葉を発するのを待っていると、やがて静かにルークが口を開いた。
「なぁ、ジェイド。・・・アッシュ・・・大丈夫だったか?」
かつての自分である『ルーク』ではなく、アッシュの心配をするルークに、いつものジェイドならからかいの言葉の一つくらいかけるものだが、それをすることなく、真剣な面持ちで言葉を返す。
「アッシュは何の問題もなく、健康体です。ここ最近、彼に起こっていたと思われる、大爆発の兆候すらなくなっているようです」
「そうか・・・よかった」
ほっと肩をなでおろし、微笑むルークの側に、ジェイドが椅子から立ち上がり、詰め寄る。
「では、今度はこちらから質問させて頂きましょう。・・・ルーク、あなたの目的はなんです?」
ジェイドの言葉に、ルークは顔を引きつらせる。
何を言ってるんだよ、とごまかしたくとも、彼の何をも見通すような紅の瞳がそれを許さない。
どれほど、にらみ合いの状態が続いただろうか。
先に諦めたように肩の力を抜いたのは、ルークのほうだった。
「あなたは利口すぎたんですよ、ルーク。突然こちらに飛ばされたにしては適応力がありすぎる。それに、あなたの行動には迷いがない。・・・何か目的があってここまで送ってもらったというのが妥当でしょう。・・・こんな非常識なことが出来るのは・・・ローレライ、ですかね?」
「・・・そこまで判ってりゃ、俺に聞くことなんてないんじゃねぇの?」
「生憎と、あなたの考えまではわからないもので。理論的に行動しているわけでもなく、利己的でもない。私には理解できませんから」
「・・・わるかったな、理論的に行動できない単細胞で」
「おや、誰も単細胞とは言っていませんよ?」
「はぁ・・・もういいよ。・・・ジェイドはさ・・・俺の行動は利己的じゃないって言ったけど、俺の目的は全部、自分のためだ。俺は、俺のわがままを現実にするために、ここに来た」
ルークは一旦言葉を切ると、自分の手のひらを見つめる。
ローレライを解放するときに落ちていった地核。
その途中で触れた、アッシュ。
動かず、息もなく、体温もない、冷たい肉体。
・・・もう、あれを体験したくはない。
「俺は、アッシュを生き残らせるためにここに来たんだ」
言葉にすることで、一層強くなった思い。
ルークは、批判されることを覚悟して、まっすぐにジェイドを見つめた。
しかし、批判的なことを口にするかと思ったジェイドは、ルークの予想に反して、そうですか、といっただけだった。
そのジェイドの様子に不思議な面持ちで、ルークがジェイドを見つめると、やれやれといった様子で、再びジェイドが口を開いた。
「私に何を言ってほしいのか知りませんが、別に私はあなたを否定しません。私は自分のためにフォミクリーを作成した。その結果がこれです。私の理論がヴァンの計画の一端を担っている。」
「でも、それはあんたのせいじゃない。悪いのは理論でも機械でもない。それを使う人間だ。・・・そうだろ?」
ルークの迷いのない瞳が、彼がそれを本心から語っているのだと示す。
一番の被害者であろう彼が、フォミクリーの発案者であるジェイドを憎んでいる様子を見せない。
だからこそ・・・
「・・・だから私もあなたを否定しないのですよ」
「え?」
苦笑交じりに呟いたジェイドの言葉は、ルークには届かなかったようで、首をかしげている。
「何でもありません。とにかく、ヴァンの計画を阻止するという目的は同じであるなら、お互いに協力しましょうか。そのほうが効率がいい」
「・・・うん、そうだな」
「では、さっさと休みますよ。明日はバチカルです」
ルークはジェイドに急かされるようにして、ベッドに入った。
幸いにも、今回の部屋にはベッドが二つあったため、ルークも片方の寝台を借りることにする。
抱え込んでいた自分の目的を話せた事で、少しだけ心が軽くなったように感じながら、ルークは心地よい闇に沈んでいった。
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