TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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「ティアさん!ティアさん!たいへんですのー!!」
小さな水色の生き物が慌てた様子でユリアシティの部屋を走り回っていた。
手には大事そうに何かを抱えている。
呼ばれたティアはセレニアの花畑の真ん中で、走り回るミュウを呼び止めた。
「どうしたの、ミュウ。私はここよ」
「ティアさん!」
ミュウは人間であったならば今にも泣き出しそうな声で、ティアに駆け寄った。
そして、大事そうに抱えていたものを見せながら、必死に訴える。
「ご主人様が…ご主人様がいないんですの!」
「え…?」
ティアは信じられないとばかりに目を見開く。
その目には、ミュウの手の中から零れ落ちる、赤い髪が映っていた。
「ルーク!」
半ば叫ぶようにして自分の部屋に入ると、部屋には誰もおらず、彼が愛用している剣もなかった。
あるのはミュウの手に持ちきれなかった彼の髪のみ。
シーツのしわが、先程まで人がいたという事実は伝えてくるのに、彼がどこへ行ったのか教えるものは何一つとしてなかった。
「ミュウ、何か気づかなかったの?」
「みゅうぅぅ…眠ってて起きたらもうご主人様、いなくなってたんですの…」
「責めてるわけじゃないわ。そんなに落ち込まないで。もしかしたらユリアシティの中にいるかもしれない。探してみましょう」
「はいですの!」
二人はルークを探すために部屋を出る。
しかし、いくら探してもルークの姿はなく、行き先の手がかりすらなかった。
タルタロスも外殻大地に帰った今、この魔界から外に出れる方法は唯一つ。
ティアはテオドーロの元に走った。
「おじい様!」
「どうした、ティア。騒々しい」
「彼が…ルークが消えました。私は、もう一度外殻大地に行きます」
「行ってどうするつもりだ?」
「わかりません…ただ、嫌な予感がするんです。」
「案ずるな、ティア。全てはユリアの預言に導かれている」
「どういうことですか・・・?」
そして、ティアは知った。
アグゼリュスでのことが全て預言通りのことであったことを。
そして思い出した。
ヴァンの言葉を。
彼が預言を憎んでいることを。
彼の目的が…アグゼリュスの崩壊だけではないことを。
「もう一度、外殻大地に行きます」
「ティア!」
ティアはミュウをつれ、テオドーロの制止を振り切ってユリアロードに走った。
急がねば大変なことになる。
今度こそ、兄を止める…
固い決意を胸に、ティアは再び外殻大地へと飛んだ。
「シンク、どこに行くんだ?」
アラミス湧水洞を出たルークとシンクの二人は草原を歩いていた。
「ダアトに行くよ」
「え、でも…」
「情報を集めるにはまずはあそこに行ったほうが都合がいいんだ。心配しなくても、ヴァンに会うことはないよ」
「うん…」
曖昧に頷くルークに、シンクはため息をつく。
利用され捨てられた直後だ。戸惑っても仕方がないが、ここでもたもたしているわけにも行かない。
シンクはルークの手を握る。
すると、驚いたような瞳と目が合った。
「行くよ」
「…ああ!」
嬉しそうに笑うルークを見て、シンクもうっすら微笑んだ。
こいつといると面白い。
ルークにフード付きの外套を着せ、ダアトのオラクル本部に入った。
シンクのやることにわざわざ口を挟んでくるものはそういないが、見つかると面倒なので足早に自分にあてがわれた部屋へと向かっていく。
幸い、厄介な人物に見つかることなく自室へたどり着けたのだが、シンクの部屋にはなぜか先客がいた。
「遅かったな、シンク。どこへ行っていた?」
「…ラルゴ」
ラルゴという言葉に、シンクの後ろにいたルークは体をびくつかせる。
その様子に気づいたラルゴは、首をひねった。
「シンク、誰だそいつは」
「あぁ…ルーク、顔を見せなよ」
「ルーク?」
不安を感じながらも、シンクの言葉に従って頭のフードを取る。
目が合ったラルゴは、普段のいかつい顔からは想像できないほど驚いた顔をしていた。
怒鳴られたり侮蔑の言葉を吐かれたりすることを覚悟して大人しく待ってみるけれど、いっこうにその気配がない。
恐る恐る再びラルゴを見ると、なぜか手招きをされた。
意味がわからなくて、助けを求めるようにシンクを見るけれど、シンクは何も言ってくれない。
仕方なく、ラルゴに近づくとなぜかラルゴが座っていた椅子に座らされた。
全く意図がつかめずラルゴを見上げると、ラルゴは一つため息をついた。
「…髪を切ってやる。このままではまずいだろう」
「あ。」
そういえば、剣で無造作に切ったままであった。
気にしていなかったが、それはすごいことになっているだろう。
ルークが大人しくなったところで、ラルゴははさみを取り出すとルークの髪を整え始めた。
「…あんた、でかいくせに器用だよね」
「お前は機敏だが不器用だな」
「ほっといてよ」
二人の会話を、ルークは意外な思いで聞いた。
今までは敵であっただけに、嫌な奴とか悪い奴とかそういう先入観で見ていたが、やはり彼らも一人の人間であるのだ。
そんなことを考えている間に終わったらしく、仕上げとばかりに大きな手で髪をかき回された。
髪だらけになった外套を取り去り、すっきりした頭を撫でるとラルゴを見上げた。
「あの…ありがとう。」
「いや」
「…あんた、何も聞かないのか?」
普通ならば、どうしてここにいるかとか真っ先に聞くだろうにラルゴは何一つとして聞かない。
逆にどうも居心地が悪く、ルークは思い切ってラルゴに尋ねた。
「別に、過去を詮索するつもりはない。お前がシンクとここにいるのなら、そういうことなのだろう」
「う…うん」
「なら問題はないだろう。敵ならば容赦しないが、そうでないものまで手をかけはしない。…それよりも、その名前と格好のままではまずいだろうな」
「そうだね。服は調達してくるから待っててよ。名前は…そうだな、レンティスなんてどう?」
「レンティス…俺の名前?」
「嫌なら変えるけど」
「いい!ありがとう、シンク」
ルークじゃない、自分の名前。
初めて、“自分自身”につけられた名前にルークは満面の笑みを浮かべた。
「じゃ…じゃぁ、僕は服を取ってくるから」
そそくさと部屋を出て行くシンクと、にやけたままのルークことレンティスをラルゴは面白そうに見つめた。
☆ラルゴはお父さん的です。
シンクはなにやらツンデレ・・・?
小さな水色の生き物が慌てた様子でユリアシティの部屋を走り回っていた。
手には大事そうに何かを抱えている。
呼ばれたティアはセレニアの花畑の真ん中で、走り回るミュウを呼び止めた。
「どうしたの、ミュウ。私はここよ」
「ティアさん!」
ミュウは人間であったならば今にも泣き出しそうな声で、ティアに駆け寄った。
そして、大事そうに抱えていたものを見せながら、必死に訴える。
「ご主人様が…ご主人様がいないんですの!」
「え…?」
ティアは信じられないとばかりに目を見開く。
その目には、ミュウの手の中から零れ落ちる、赤い髪が映っていた。
「ルーク!」
半ば叫ぶようにして自分の部屋に入ると、部屋には誰もおらず、彼が愛用している剣もなかった。
あるのはミュウの手に持ちきれなかった彼の髪のみ。
シーツのしわが、先程まで人がいたという事実は伝えてくるのに、彼がどこへ行ったのか教えるものは何一つとしてなかった。
「ミュウ、何か気づかなかったの?」
「みゅうぅぅ…眠ってて起きたらもうご主人様、いなくなってたんですの…」
「責めてるわけじゃないわ。そんなに落ち込まないで。もしかしたらユリアシティの中にいるかもしれない。探してみましょう」
「はいですの!」
二人はルークを探すために部屋を出る。
しかし、いくら探してもルークの姿はなく、行き先の手がかりすらなかった。
タルタロスも外殻大地に帰った今、この魔界から外に出れる方法は唯一つ。
ティアはテオドーロの元に走った。
「おじい様!」
「どうした、ティア。騒々しい」
「彼が…ルークが消えました。私は、もう一度外殻大地に行きます」
「行ってどうするつもりだ?」
「わかりません…ただ、嫌な予感がするんです。」
「案ずるな、ティア。全てはユリアの預言に導かれている」
「どういうことですか・・・?」
そして、ティアは知った。
アグゼリュスでのことが全て預言通りのことであったことを。
そして思い出した。
ヴァンの言葉を。
彼が預言を憎んでいることを。
彼の目的が…アグゼリュスの崩壊だけではないことを。
「もう一度、外殻大地に行きます」
「ティア!」
ティアはミュウをつれ、テオドーロの制止を振り切ってユリアロードに走った。
急がねば大変なことになる。
今度こそ、兄を止める…
固い決意を胸に、ティアは再び外殻大地へと飛んだ。
「シンク、どこに行くんだ?」
アラミス湧水洞を出たルークとシンクの二人は草原を歩いていた。
「ダアトに行くよ」
「え、でも…」
「情報を集めるにはまずはあそこに行ったほうが都合がいいんだ。心配しなくても、ヴァンに会うことはないよ」
「うん…」
曖昧に頷くルークに、シンクはため息をつく。
利用され捨てられた直後だ。戸惑っても仕方がないが、ここでもたもたしているわけにも行かない。
シンクはルークの手を握る。
すると、驚いたような瞳と目が合った。
「行くよ」
「…ああ!」
嬉しそうに笑うルークを見て、シンクもうっすら微笑んだ。
こいつといると面白い。
ルークにフード付きの外套を着せ、ダアトのオラクル本部に入った。
シンクのやることにわざわざ口を挟んでくるものはそういないが、見つかると面倒なので足早に自分にあてがわれた部屋へと向かっていく。
幸い、厄介な人物に見つかることなく自室へたどり着けたのだが、シンクの部屋にはなぜか先客がいた。
「遅かったな、シンク。どこへ行っていた?」
「…ラルゴ」
ラルゴという言葉に、シンクの後ろにいたルークは体をびくつかせる。
その様子に気づいたラルゴは、首をひねった。
「シンク、誰だそいつは」
「あぁ…ルーク、顔を見せなよ」
「ルーク?」
不安を感じながらも、シンクの言葉に従って頭のフードを取る。
目が合ったラルゴは、普段のいかつい顔からは想像できないほど驚いた顔をしていた。
怒鳴られたり侮蔑の言葉を吐かれたりすることを覚悟して大人しく待ってみるけれど、いっこうにその気配がない。
恐る恐る再びラルゴを見ると、なぜか手招きをされた。
意味がわからなくて、助けを求めるようにシンクを見るけれど、シンクは何も言ってくれない。
仕方なく、ラルゴに近づくとなぜかラルゴが座っていた椅子に座らされた。
全く意図がつかめずラルゴを見上げると、ラルゴは一つため息をついた。
「…髪を切ってやる。このままではまずいだろう」
「あ。」
そういえば、剣で無造作に切ったままであった。
気にしていなかったが、それはすごいことになっているだろう。
ルークが大人しくなったところで、ラルゴははさみを取り出すとルークの髪を整え始めた。
「…あんた、でかいくせに器用だよね」
「お前は機敏だが不器用だな」
「ほっといてよ」
二人の会話を、ルークは意外な思いで聞いた。
今までは敵であっただけに、嫌な奴とか悪い奴とかそういう先入観で見ていたが、やはり彼らも一人の人間であるのだ。
そんなことを考えている間に終わったらしく、仕上げとばかりに大きな手で髪をかき回された。
髪だらけになった外套を取り去り、すっきりした頭を撫でるとラルゴを見上げた。
「あの…ありがとう。」
「いや」
「…あんた、何も聞かないのか?」
普通ならば、どうしてここにいるかとか真っ先に聞くだろうにラルゴは何一つとして聞かない。
逆にどうも居心地が悪く、ルークは思い切ってラルゴに尋ねた。
「別に、過去を詮索するつもりはない。お前がシンクとここにいるのなら、そういうことなのだろう」
「う…うん」
「なら問題はないだろう。敵ならば容赦しないが、そうでないものまで手をかけはしない。…それよりも、その名前と格好のままではまずいだろうな」
「そうだね。服は調達してくるから待っててよ。名前は…そうだな、レンティスなんてどう?」
「レンティス…俺の名前?」
「嫌なら変えるけど」
「いい!ありがとう、シンク」
ルークじゃない、自分の名前。
初めて、“自分自身”につけられた名前にルークは満面の笑みを浮かべた。
「じゃ…じゃぁ、僕は服を取ってくるから」
そそくさと部屋を出て行くシンクと、にやけたままのルークことレンティスをラルゴは面白そうに見つめた。
☆ラルゴはお父さん的です。
シンクはなにやらツンデレ・・・?
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