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TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。 出版元・製作元様方には一切関係ありません。 また、突然消失の可能性があります。 嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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振り下ろされる前足。
薙ぎ払われる尾。
それらを間一髪で避ける三人だが、それらの衝撃を受けて崩れてくる洞窟の瓦礫からまでは身を守れない。
一つ一つはたいしたことはなくとも、無数に振ってくる石つぶてをうけ、時折振ってくる巨大な岩石に気を張っていなければならず、三人の疲労度はたまっていく。

『もう終わりか?』
「んなわけねぇだろうが!やっとだ!やっと熱くなってきたんだからなぁ!!」
「・・・貴様を倒すまでは終わらん」
「てめぇこそ、動きが鈍いんじゃねぇのか?」
『それだけ咆えられれば上等だ』

しかし、言葉とは裏腹に人である三人の息は荒く、武器は欠け、疲労の色は濃い。
だが、その瞳の闘志は揺らいでいない。
ユーリはそれを見て笑う。

彼もこのひと時を楽しんでいるのだ。


ザギが力をためて跳躍し、斬りかかる。
それにユーリの尾が容赦なく振るわれ、ザギの体に直撃する。
しかし、ザギとてただでやられるわけではな。
相手の力を利用して、その尾に刃を立てる。
素晴らしい強度を誇る鱗を貫くことはできず、崩れ去るのはザギの獲物のほう。
だが好機。
同じところめがけて、ティソンの衝撃波が龍となって襲い掛かり
クリントの巨剣が振り下ろされる。

すさまじいまでの衝撃が洞窟内に響き、砂埃がもうもうとたちあがる。
それがおさまったとき見えたのは、壁に叩きつけられたザギ
地面に大の字で倒れるティソン
巨剣にすがるように膝を突くクリント
さも、面白いといわんばかりに瞳を輝かすユーリの姿。

人である3人の完全なる敗北の図・・・。
しかし、ユーリは愉悦を含む声音で3人に声をかけた。

『合格だ』
「・・・あ?」
「・・・何だと?」
『言葉のとおりさ。俺の体に傷入れた奴らなんか、久しぶりだ』

3人が見ているか、などお構いなしに、ユーリは自分の尻尾をひらひらと振ってみせる。
その尻尾の鱗のひとつに、小さくひびが入っていた。
絶大な強度を誇る黒竜の鱗に人がひびを入れる。
そのことが、ユーリに大きな満足感をもたらした。
退屈な日々を過していたユーリにとって、久々の充足感。

ユーリは自らの爪で器用に割れた鱗をはがすと欠片を三人の前に落とす。

『まだやる気があるんなら、今度相手にしてやるよ』

そういうと、ユーリは翼をはためかせる。
3人のために魔術で帰り道を作ってやってから、自分は空に向かって大きく開いた穴から外へ旅立つ。

久々の空はユーリが閉じ込められる前と変わらず、美しかった。
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