TOAに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる"女性向け"の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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手に入れた居場所、番外10の書き途中だった文を仕上げました。
過去の記事を編集し上書きしたため、ブログ上、下に下がってます。
掘り下げてやってください。
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ここでは、素晴らしきサイト様を御紹介したいと思います。
このブログへのリンクにつきましては、注意書きをご覧下さい。
<世界が綺麗だった最後の日>
雪華柚宇様。ガ○ダム種運命、TOAの小説・イラストサイト様です。
TOAではオリジナルイオン×ルーク、ルクティアでのルーク逆行長編小説が素敵です。
黒設定のイオン様がカッコいいです。
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<世界が綺麗だった最後の日>
雪華柚宇様。ガ○ダム種運命、TOAの小説・イラストサイト様です。
TOAではオリジナルイオン×ルーク、ルクティアでのルーク逆行長編小説が素敵です。
黒設定のイオン様がカッコいいです。
「「モース!」」
入ってきた人物を見た瞬間、途端に剣呑な雰囲気なった室内。
その中でも、各国首脳の三人とジェイドは静かにそれを見つめていた。
モースはというと、不敵な態度を崩さず、周囲を見回した。
「皆様おそろいで、このような場所でお話とは。・・・・・・一体何のことについてお話をされていたのですかな。私めも是非参加させていただきたいのですが」
「残念だが、話は既に終了した。今はただ、各国の友好を深めているだけさ」
「それは、よいことですな。しかし、こうして各国の代表の方々がそろうのはまたとない機会。僭越ながら、私のほうから、皆様方に議論していただきたいことがあるのですが」
モースは笑みを浮かべて、一同を見回す。
しかし、その笑顔に騙されるような人物はこの場にはいない。
皆、この男がどのような野望を持ち、影で何をしていたのか知っている。
モースとて、この場で自分が不利となることはわかりきっているだろう。それなのに、なぜわざわざこの場へと足を運んできたのか。
本来なら、この場への参加さえ認められていないモースに、発言権を許す理由はない。
しかし、モースがここへ何を企んでやってきたのかは、確かめなければならない。
イオンはピオニー、インゴベルトと顔を見合わせ頷き会うと、モースに発言を許した。
「お話というのは、預言のことです」
モースの言葉に、やはり・・・とイオンは瞳を閉じた。
その様子を後ろで見ていたアニスが心配そうに、イオンを見つめる。
モースは、そんなイオンの様子を見ながらも熱弁を振るった。
「人々は預言を望んでおります。イオン様も御存知でしょう。ダアトの街に溢れかえる、預言を心待ちにしている者の姿を!それを、お見捨てになるのですかな?」
「モース、言ったはずです。ローレライは音譜帯に帰り、世界の音素はこれから不足していきます。新しいエネルギーの開発が確立するまでの間は、音素の消費を世界全体で抑えていく必要があります。それに、この世界は既にユリアの預言からは外れました。ユリアの預言はこれから先、意味を持たない。我々は自らの足で歩み、腕で未来の意図を糸をつむいでいく必要があるのです」
イオンはモースの発言を毅然として突っぱねる。
だが、モースの気味の悪い笑みは崩れない。
「意味がないとは心外ですな。預言はもはや、ローレライ教団の象徴そのもの。人々からその象徴を奪う権利は、例え導師と言えどもありますまい。しかし・・・そうですな。音素が不足しているのも事実。ならば、マルクト、キムラスカ両国の国王陛下にのみ、預言を詠むということではどうでしょうかな?両国民は自国に唯一もたらされた預言を信じ、両陛下への国民の支持は高まり、両国の力も増すでしょう。よいことではないですかな?」
「残念だが、大詠師モース。我がマルクトは、預言に頼らぬ施政を行うことで既に合致している。」
「我がキムラスカも同じ。今更それを覆せば、民を無駄に動揺させることになり、我らは民からの信用を失うだろう」
「これらは、導師イオンが中心となり、マルクト、キムラスカ、そして自治区ケセドニアにおいても了承されたこと。大詠師といえど、それを覆すことはできないのではないかな」
ピオニー、インゴベルト、テオドーロの3名に完全に否定され、流石のモースの顔をしかめ、鋭いまなざしを向けた。
しかし、再びその顔に嫌な笑みがのぼった。
その笑みを見て、一堂は視線を交差させる。そして、万が一に備え、ティアやアッシュ、アニス、ガイなどのメンバーはすぐに動けるように、身構え、モースの動きを監視した。
モースは人々の視線を浴びながら、言葉を吐く。
「そう。預言破棄の条約は、この“イオン”が締結したもの。ですが、彼が“導師イオン”でないと知れたら、民はどう思いますかな」
イオンの目が驚愕に見開かれ、その後、悲しげに細められた。
それを見たアニスが、猛然とモースに食って掛かろうと口を開くが、無言でイオンに静止される。
アニスは悔しそうにして、引き下がったが、モースを睨む視線は厳しいままだ。
だが、一層厳しくなった視線の中でも、モースは言葉を続ける。
それは、自分の欲に目のくらんだ愚者の、愚かな言葉だった。
「導師イオンはこの場にはなく、今いるのが、人ですらないレプリカであるとすれば、そんなものの言葉、誰も聞くことはしないでしょうな。どうです?導師イオン。お体も悪いことですし、そろそろ引退して、療養されては。そうすれば、ローレライ教団はあなたを“導師”として送り出しましょう」
「・・・拒めば?」
「それはもう、お分かりでしょう。ああ、くれぐれも私に危害など加えませんようお願いしますよ。そんなことをすれば、すぐにでも導師イオンは偽者だという発表がなされるよう手配しましたから」
にやにやと笑うモース。
イオンは、瞳を伏せ深々と息を吐いた。
モースがここまでやったとなると、既に準備は万全なのだろう。
同じ教団内にいながら、このたくらみに気付けなかった自分を、イオンは不甲斐なく感じた。
しかし、イオンが退位すれば、次の実権はモースが確実に握るだろう。
それだけは何としてでも避けねばならない。
そのためには、イオンがモースの要求を呑むことなどできはしないのだ。
イオンは、強い決意を示した視線で、モースを見た。
一方、ルークとシンクはマルクト側の壁際にて、事の成り行きを見守っていた。
あのような欲求をイオンが呑むほど、愚かではないとわかっているが、このまま要求をはねつければ、モースは確実にイオンがレプリカであると公表するだろう。
そうなれば、世界が再び混乱の渦に飲まれることは、容易に予測できた。
「・・・どうする?シンク」
ルークは二人にだけわかる声量で、シンクに話しかけた。
「・・・別に、僕はこの場がどうなろうと知ったことじゃないけどね」
「シンク!」
ふんっと、鼻を鳴らし、さもどうでもよさそうに言うシンクに、ルークが咎めるように名を呼ぶ。
すると、シンクはひとつため息をついて、もたれかかっていた壁から背を離した。
「・・・でも、あの狸には借りがある。こんなにいい機会があるとは限らないし、今のうちに借りを返すのも悪くないね」
「え・・・じゃぁ、シンク・・・」
ルークがシンクをただ見ている間に、シンクは軽く跳躍した。
「結論は出ましたかな?“導師”イオン」
「モース・・・僕は・・・」
「そこまでにしたら?モース」
「なっ・・・!」
いつの間に、いたのか。
自分の背後にいた影を確認しようと、モースは首を回そうとするが、その瞬間、首に走った痛みに動きの中断を余儀なくされる。
背後の影は、モースの頚動脈にひたりと短剣を突きつけていた。
イオンから謀られたのかとイオンを見るが、彼の目も驚愕に見開かれていて、これが用意されたものではないのだと知る。
しかし、それが知れたとしても、首に剣を当てられたこの状況が変わるものではない。
「ぐ・・・誰だ・・・貴様」
「あぁ、お偉い大詠師モース様は、火山に捨てようとしたゴミのことなんて、覚えておられないかな」
「なんだと・・・」
わずかに動揺するモースの背後で、影が動き、それによって、モースの視界の端に緑色うつった。
それにこの声。
モースに覚えがあるのはただ一人。
「貴様・・・シンク!なぜ・・・ッ!」
「はっ・・・わざわざアンタにそんなこと説明する理由はないね」
シンクの持つ刃が、モースの首に食い込む。
「私を殺せば、すぐさま事実は公表されるぞ!」
「それが何?」
「何だと・・・!?」
「別に、そんな事実、公表されようと何も困らないよ。だいたい、僕がここにいるって事で、あんたの計画は崩れるさ」
「・・・どういうことだ」
淡々と述べられるシンクの言葉に、モースが不信の声を上げる。
このような状態であっても、自分の優位は揺るがないはずだ。
なぜなら、すでにイオンがレプリカであると公表する準備は、モースがボタンをひとつ押すだけで行われるのだから。
だが、モースの自身も、シンクの言葉で打ち崩されることになる。
「あんたがそれを公表したとしても、偽の導師は既に逃走し、本物の導師をどっかから救出した、とでも発表されるさ。イオンレプリカは一人じゃないからね。逃げ出した偽導師が僕、イオンが助け出された導師とでも、発表すれば事は収まる。・・・ねぇ、死霊使い?」
「なっ・・・」
突然話をふられたジェイドは、動揺することもなく、ただ微笑むだけ。
しかし、その笑みが、モースの企みなどいくらでも潰せるといっているようで、モースは歯噛みした。
「・・・ならば、交渉は決裂だ!」
モースはその体躯で、よくもそんな早く動けたものだと感心するような速さで、懐からボタンを取り出し、皆に見せ付けるようにそれを押した。
「ふはは・・・これで、全ては公表される!今更後悔しても遅いぞ!」
狂ったように笑うモースを見て、うるさそうにシンクは顔をゆがめる。
いっそ、さっさととどめを刺そうかと、短剣に力を入れたシンクを止めたのは、ルークでも、その場にいる者たちでもなく、轟音と共に破壊された扉から投げ込まれた神託の盾兵士だった。
大きく開け放たれた扉から、大きな影が入ってくる。
マントのフードを深々とかぶった人物は、人を引きずりながら部屋にはいって来た。
「会談中、失礼する」
その声は静まり返った会場に、低く響いた。
「お帰り、ジェイド」
ジェイドがアッシュと『ルーク』の診察を終えて、宿屋に戻ると、実体化したルークがジェイドを迎えた。
それを見たジェイドの口から、深いため息が漏れる。
「・・・なんだよ」
「あなたは少し警戒でもしたらどうですか。入ってくるのが私でなかったら、どう説明するつもりです?」
「だって、ジェイドの部屋だし、誰も入ってこねぇだろ?」
「入ってこないとは限りませんよ。自由に出入りは出来るわけですし?・・・何年たとうと、そのお気楽ぶりは変わってないようですねぇ」
「ほっとけ!」
顔をわずかに赤くして怒るルークに、ジェイドは肩をすくめ、部屋の中に置かれた椅子に腰掛けた。
一息つき、ルークのほうに視線をやると、ルークはどこか思いつめたような表情で、俯いている。
急かすでもなく、ルークが何か言葉を発するのを待っていると、やがて静かにルークが口を開いた。
「なぁ、ジェイド。・・・アッシュ・・・大丈夫だったか?」
かつての自分である『ルーク』ではなく、アッシュの心配をするルークに、いつものジェイドならからかいの言葉の一つくらいかけるものだが、それをすることなく、真剣な面持ちで言葉を返す。
「アッシュは何の問題もなく、健康体です。ここ最近、彼に起こっていたと思われる、大爆発の兆候すらなくなっているようです」
「そうか・・・よかった」
ほっと肩をなでおろし、微笑むルークの側に、ジェイドが椅子から立ち上がり、詰め寄る。
「では、今度はこちらから質問させて頂きましょう。・・・ルーク、あなたの目的はなんです?」
ジェイドの言葉に、ルークは顔を引きつらせる。
何を言ってるんだよ、とごまかしたくとも、彼の何をも見通すような紅の瞳がそれを許さない。
どれほど、にらみ合いの状態が続いただろうか。
先に諦めたように肩の力を抜いたのは、ルークのほうだった。
「あなたは利口すぎたんですよ、ルーク。突然こちらに飛ばされたにしては適応力がありすぎる。それに、あなたの行動には迷いがない。・・・何か目的があってここまで送ってもらったというのが妥当でしょう。・・・こんな非常識なことが出来るのは・・・ローレライ、ですかね?」
「・・・そこまで判ってりゃ、俺に聞くことなんてないんじゃねぇの?」
「生憎と、あなたの考えまではわからないもので。理論的に行動しているわけでもなく、利己的でもない。私には理解できませんから」
「・・・わるかったな、理論的に行動できない単細胞で」
「おや、誰も単細胞とは言っていませんよ?」
「はぁ・・・もういいよ。・・・ジェイドはさ・・・俺の行動は利己的じゃないって言ったけど、俺の目的は全部、自分のためだ。俺は、俺のわがままを現実にするために、ここに来た」
ルークは一旦言葉を切ると、自分の手のひらを見つめる。
ローレライを解放するときに落ちていった地核。
その途中で触れた、アッシュ。
動かず、息もなく、体温もない、冷たい肉体。
・・・もう、あれを体験したくはない。
「俺は、アッシュを生き残らせるためにここに来たんだ」
言葉にすることで、一層強くなった思い。
ルークは、批判されることを覚悟して、まっすぐにジェイドを見つめた。
しかし、批判的なことを口にするかと思ったジェイドは、ルークの予想に反して、そうですか、といっただけだった。
そのジェイドの様子に不思議な面持ちで、ルークがジェイドを見つめると、やれやれといった様子で、再びジェイドが口を開いた。
「私に何を言ってほしいのか知りませんが、別に私はあなたを否定しません。私は自分のためにフォミクリーを作成した。その結果がこれです。私の理論がヴァンの計画の一端を担っている。」
「でも、それはあんたのせいじゃない。悪いのは理論でも機械でもない。それを使う人間だ。・・・そうだろ?」
ルークの迷いのない瞳が、彼がそれを本心から語っているのだと示す。
一番の被害者であろう彼が、フォミクリーの発案者であるジェイドを憎んでいる様子を見せない。
だからこそ・・・
「・・・だから私もあなたを否定しないのですよ」
「え?」
苦笑交じりに呟いたジェイドの言葉は、ルークには届かなかったようで、首をかしげている。
「何でもありません。とにかく、ヴァンの計画を阻止するという目的は同じであるなら、お互いに協力しましょうか。そのほうが効率がいい」
「・・・うん、そうだな」
「では、さっさと休みますよ。明日はバチカルです」
ルークはジェイドに急かされるようにして、ベッドに入った。
幸いにも、今回の部屋にはベッドが二つあったため、ルークも片方の寝台を借りることにする。
抱え込んでいた自分の目的を話せた事で、少しだけ心が軽くなったように感じながら、ルークは心地よい闇に沈んでいった。
ジェイドがアッシュと『ルーク』の診察を終えて、宿屋に戻ると、実体化したルークがジェイドを迎えた。
それを見たジェイドの口から、深いため息が漏れる。
「・・・なんだよ」
「あなたは少し警戒でもしたらどうですか。入ってくるのが私でなかったら、どう説明するつもりです?」
「だって、ジェイドの部屋だし、誰も入ってこねぇだろ?」
「入ってこないとは限りませんよ。自由に出入りは出来るわけですし?・・・何年たとうと、そのお気楽ぶりは変わってないようですねぇ」
「ほっとけ!」
顔をわずかに赤くして怒るルークに、ジェイドは肩をすくめ、部屋の中に置かれた椅子に腰掛けた。
一息つき、ルークのほうに視線をやると、ルークはどこか思いつめたような表情で、俯いている。
急かすでもなく、ルークが何か言葉を発するのを待っていると、やがて静かにルークが口を開いた。
「なぁ、ジェイド。・・・アッシュ・・・大丈夫だったか?」
かつての自分である『ルーク』ではなく、アッシュの心配をするルークに、いつものジェイドならからかいの言葉の一つくらいかけるものだが、それをすることなく、真剣な面持ちで言葉を返す。
「アッシュは何の問題もなく、健康体です。ここ最近、彼に起こっていたと思われる、大爆発の兆候すらなくなっているようです」
「そうか・・・よかった」
ほっと肩をなでおろし、微笑むルークの側に、ジェイドが椅子から立ち上がり、詰め寄る。
「では、今度はこちらから質問させて頂きましょう。・・・ルーク、あなたの目的はなんです?」
ジェイドの言葉に、ルークは顔を引きつらせる。
何を言ってるんだよ、とごまかしたくとも、彼の何をも見通すような紅の瞳がそれを許さない。
どれほど、にらみ合いの状態が続いただろうか。
先に諦めたように肩の力を抜いたのは、ルークのほうだった。
「あなたは利口すぎたんですよ、ルーク。突然こちらに飛ばされたにしては適応力がありすぎる。それに、あなたの行動には迷いがない。・・・何か目的があってここまで送ってもらったというのが妥当でしょう。・・・こんな非常識なことが出来るのは・・・ローレライ、ですかね?」
「・・・そこまで判ってりゃ、俺に聞くことなんてないんじゃねぇの?」
「生憎と、あなたの考えまではわからないもので。理論的に行動しているわけでもなく、利己的でもない。私には理解できませんから」
「・・・わるかったな、理論的に行動できない単細胞で」
「おや、誰も単細胞とは言っていませんよ?」
「はぁ・・・もういいよ。・・・ジェイドはさ・・・俺の行動は利己的じゃないって言ったけど、俺の目的は全部、自分のためだ。俺は、俺のわがままを現実にするために、ここに来た」
ルークは一旦言葉を切ると、自分の手のひらを見つめる。
ローレライを解放するときに落ちていった地核。
その途中で触れた、アッシュ。
動かず、息もなく、体温もない、冷たい肉体。
・・・もう、あれを体験したくはない。
「俺は、アッシュを生き残らせるためにここに来たんだ」
言葉にすることで、一層強くなった思い。
ルークは、批判されることを覚悟して、まっすぐにジェイドを見つめた。
しかし、批判的なことを口にするかと思ったジェイドは、ルークの予想に反して、そうですか、といっただけだった。
そのジェイドの様子に不思議な面持ちで、ルークがジェイドを見つめると、やれやれといった様子で、再びジェイドが口を開いた。
「私に何を言ってほしいのか知りませんが、別に私はあなたを否定しません。私は自分のためにフォミクリーを作成した。その結果がこれです。私の理論がヴァンの計画の一端を担っている。」
「でも、それはあんたのせいじゃない。悪いのは理論でも機械でもない。それを使う人間だ。・・・そうだろ?」
ルークの迷いのない瞳が、彼がそれを本心から語っているのだと示す。
一番の被害者であろう彼が、フォミクリーの発案者であるジェイドを憎んでいる様子を見せない。
だからこそ・・・
「・・・だから私もあなたを否定しないのですよ」
「え?」
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「何でもありません。とにかく、ヴァンの計画を阻止するという目的は同じであるなら、お互いに協力しましょうか。そのほうが効率がいい」
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ルークはジェイドに急かされるようにして、ベッドに入った。
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抱え込んでいた自分の目的を話せた事で、少しだけ心が軽くなったように感じながら、ルークは心地よい闇に沈んでいった。