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教団本部は、突然現われた導師のレプリカに、驚きを隠せない様子であったが、保護することは戸惑いながらも引き受けてくれた。
フローリアンと名づけられたその子供は、アニスの両親に見守られながら、笑顔でいる。
その様子を横目に、厳しい顔をしたアッシュと、戸惑いの表情の『ルーク』、ガイ。それに、不信感を露にしているナタリア、ティア、アニスは、あの場でラルゴと相対していたルークを見ていた。
「で、テメェは何者だ」
「アッシュ、喧嘩腰に話をしないで。まとまるものもまとまらなくなるわ」
「そうですわアッシュ。私たちを助けてくれたのですから」
「だが・・・!」
痺れを切らしたアッシュが、半ばけんか腰に話を進めようとするも、女性陣に止められ、しぶしぶ口をつぐむ。『ルーク』はどうしたものかと助けを求めるようにガイとジェイドの顔をうかがい、結局、一番交渉ごとに向いてそうなガイがその任に当たることになる。
その一連の流れを、ルークは苦笑いしながら見つめていた。
「あー・・・で、お前は何者だ?」
「何者っていわれても困るんだけどなぁ・・・」
「お前も・・・レプリカか?」
「あー・・・まぁそうといえばそうだけど・・・」
「おまえ・・・真面目に答える気あるのか?」
流石のガイも、白い目でルークを見つめる。
しかし、ルークとしてみても、違う時空(未来?)から来た、半分アッシュと大爆発起こした二次超振動使えるルークで、ローレライからここまで運んでもらいました~なんて、いえるわけがない。
・・・もう大人しく、ディストの作った実験台レプリカってことにしとこうかな
ルークが嘘の設定を練っているとき、ルークにとっては天の助けともなるような声が響いた。
「・・・おおかた、ディストの作ってたレプリカでしょう」
「あれ?大佐、何か知ってるんですかぁ?」
「いえ、知っているわけではありませんよ。ただ、そこの彼はアッシュやルークよりも幾分成長しているように見えます。本来ならば、レプリカが被験者の外見年齢を上回ることはありえません。ですが、あれは被験者の情報を操作して、成長を外見の成長を早めたレプリカを作る・・・なんていう馬鹿な研究もしていたようですからね」
「そ。俺はディストに作られたんだ。こう見えてもあんたより作られたのは後だせ、『ルーク』」
にやりと、『ルーク』に微笑んで見せたルークは、横目でジェイドを見る。
助かったぜ、サンキュ
・・・貸し一つですよ
「でも、大佐ぁ。信用できるんですか?あのディストに育てられたってことでしょぉ?」
「彼はあの場でヴァンと決別していました。あれが演技とは考えにくいでしょう」
「まぁ、それもそうね」
「・・・じゃ、こいつもこれから一緒に来るのか?」
『ルーク』はどこか戸惑ったような視線で、ルークを見る。
アッシュはというと、ちらりと横で見ただけで、それ以降目をあわせようともしない。
「んー・・・そこそこ役に立つと思うぜ?俺」
「たしかに、あのラルゴと渡り合えてたし、いい戦力にはなると思うけどな・・・」
不思議とルークに好意的なガイの言葉をうけ、ルークもにっこりと笑ってみせる。
「・・・勝手にしろ。俺はただヴァンを倒せればそれでいい」
「やった。ありがとな、アッシュ!」
笑顔で礼を言うルークには目を向けず、アッシュはふん、と鼻を鳴らしただけ。
とりあえず、第一段階はクリア・・・かな。
「そういえば、お前、名前はなんていうんだ?」
「名前?」
「そう。名前」
「えっと・・・ま、エルとでも呼んでくれ」
「エル?」
「うん」
「じゃ、よろしくな、エル」
敵を目の前にしているというのに、衝撃でぼうっと突っ立ったままでいる『ルーク』とアッシュに、ルークは苦笑する。
・・・まぁ、もう一人レプリカが出てきたらびびるのはわかるけどさぁ・・・いつまでも固まっててもらっちゃ困るんだよな。
ルークは自分に向かって振り下ろされたラルゴの鎌をわざと正面から受け、その反動を利用してラルゴとの距離をとった。
「おい!いつまでも突っ立ってないで、働け!」
「え・・・あ!」
「まて!テメェは誰だ!?」
「そんなことは後から話す!今はそんな場合じゃないだろう!?」
「クソッ」
アッシュは悔しそうに顔をゆがめたが、ルークのいうことがもっともであると判っているのだろう。
リグレットらのほうに剣を抜いて、向かっていく。
「ようやく来たか、アッシュ。だが、もう遅い」
「何だと!?」
リグレットに今まさに切りかかろうとしたとき、地核のほうより上ってきた光が、リグレットの横に収束した。
とっさに危険を感じたアッシュは、その光から距離をとる。
だが、その光の中から現われたのは・・・
「・・・ヴァン・・・!」
「おかえりなさいませ、閣下」
「あぁ」
ローレライを取り込み、その癒しの力で復活を果たしたヴァン。
姿かたちは何も変わらないのに、どこかその気配が前とは違う。
そこにいるだけで感じる威圧感。
アッシュらは、憎々しげにヴァンをにらみつけた。
だが、蘇ったヴァンに対して初めに声を発したのは、アッシュでも、『ルーク』でも、ティアでもなく、ラルゴとの立会いの手を止め、悠々と一歩前に進み出たルークだった。
「お久しぶりです、ヴァン師匠」
「あぁ、ルークか」
・・・あぁ、やっぱりあなたは知ってるんですね。ローレライを取り込んだあなたは、俺が過去に戻ってきたのを知っているんだ。
じっと、無言で見詰めあう。
ヴァンの瞳にも、ルークの瞳にも迷いなど見られない。
「・・・答えは否だろうが・・・一応訊いておく。私と共に来る気はないか?ルーク」
「知ってて聞かないで下さい。もちろん、否です」
「ふっ・・・そうだな。ならば、いずれ決着を付けよう」
「はい」
「・・・楽しみにしている」
ヴァンは、リグレットらを伴いこの場を後にした。
過去であったならば、ここで命を落とす筈であったラルゴも、ヴァンと共にこの場を去る。
この時点から過去は過去でなく、違う道を完全に歩み始めたのだ。
残されたのは、事情を知らず戸惑っているかつての仲間たち。
ルークは、ふわりと微笑んでみせる。
「・・・混乱するのはわかりますが、『ルーク』、まずはゲートをとじておきなさい。気が変わったヴァンたちが邪魔しに戻ってこないとも限りませんからね」
「あ・・・あぁ、わかった」
不信の目をルークに向けながらも、『ルーク』はゲートを閉じるべく、更に下層へと向かう。
それにティアとガイがついていき、残るメンバーはルークへと不信と疑惑の目を向けている(といっても、ジェイドはのぞくが)。
・・・やっぱ、こういう反応だよな。
予想はしていたが、実際にこうも不信がられていい気がするものではない。
とくに、アッシュからむけられる、不信とも嫌悪の視線とも思える視線は、ルークには痛かった。
だが、自分の目的をアッシュにだけは悟られるわけにはいかないのだ。
アッシュを生かしたいなんていったら、余計なお世話だとかなんとかいろいろ言われるのが落ちだろうし。
俺の邪魔は誰にもさせない・・・たとえ、それがアッシュ自身でも
『あー・・・退屈。』
ふわふわと空中に浮いたまま、ルークはひとつ大きなあくびをした。
ルークが今いるのは、アブソーブゲートである。
と、いっても、ルーク一人のみで、他の仲間たちやヴァンらがいるわけではない。
ただ、以前ならばアッシュがヴァンらの足止めをしていたが、そのアッシュが『ルーク』らと行動し始めたために、下手をすると、アッシュらがここに到着する前に、ヴァンらは目的を達して帰ってしまうかもしれない・・・と考えたルークが、先回りしておくことにしたのだ。
だが、待てどもモースとかラルゴとかリグレットとか・・・は来ない。
アッシュらが来るときに困らないように、魔物を掃討しようかとも考えたが、それでは先に来る六神将に不信感を持たせてしまうため、それも出来ない。
・・・まぁ、少しは数を減らしておいたが。
よって、今のルークは完全なる暇人なのであった。
あまりの暇さに、ローレライに話しかけてみたものの、現在のローレライはヴァンの中。
会話なんて出来ない。
過去(未来?)のローレライは音信不通。
だいたい、ルークはローレライとの連絡の取り方すら知らない。
いっそ、不謹慎ながら、さっさとモースどもが来ればいいのに・・・と考え始める。
「あーーーー!!ひまだってのーーーー!!」
やけくそで大きな声で叫んだ後、ルークは不貞寝をするように、寝転がった。
どれくらいたっただろうか。
軽く眠っていたルークは、こちらに向かってくるであろう、いくつもの足音で目を覚ました。
ふわりと空中に浮かび、入り口のほうを伺う。
現われたのは、六神将とモース。それに、半ば引きずられるようにつれてこられる、イオンレプリカ・・・フローリアン。
「リグレット。本当にヴァンは第七譜石の欠片をもちかえるのであろうな?」
「はい」
「・・・嘘であったら、どうなるか分かっているだろうな?」
「どうぞ御自由に」
「・・・ふんっ」
利害の一致から手を組んでいるに過ぎないモースと六神将。
その関係に、信頼などという文字はないようだ。
・・・だが、だからこそルークにとっては好都合。
ルークは、最下層へ向かおうとしているモースらの背後に静かに降り立つと、実体化して剣を突きつけた。
「待てよ。そこから先は行かせない」
振り向いたリグレットらの目には驚愕の色が浮かぶ。
ルークは、それを見て満足そうに微笑んだ。
後は、時間稼ぎをするだけだ。
「くそ・・・リグレット・・・先に来てやがるな」
「アッシュ・・・間に合うのかな?」
「わからん。つべこべ言わずに走れ、屑!」
『ルーク』とアッシュは互いに肩を並べながら坂道を駆け下り、最下層へと向かう。
その後を、仲間たちが続いていた。
幸いにも、敵はそんなに出てきてはいない。
既に先に中に入った者が、魔物たちを倒して行ったのだろう。
おかげで、アッシュたちはそれほど時間をかけずに最下層近くまでたどり着くことが出来た。
しかし、最下層に足を踏み入れようとしたときに聞こえてきたのは、激しく斬撃が繰り出される音。
硬質な鋼がこすれ、悲鳴を上げている。
「誰か闘っているみたいだな・・・でも、一体誰が?」
「ガイ、詮索は後にしましょう。行きますよ」
自分たちのほかに、リグレットらと一戦やりあうような奴がいたかと、首をかしげるガイをよそに、ジェイドは悠々と進んでいく。
その足取りに、迷いは一切ない。
ジェイドに釣られるような形で、下層に足を踏み入れたアッシュらが見たのは、目を疑う光景だった。
「な・・・ッ!?」
「嘘だろ!?あれは・・・!」
赤い髪。
翡翠色の瞳。
そして、その体から繰り出される剣技。
ラルゴの鎌を易々と避け、舞うように剣を振るうその姿は、そこにいるメンバーには見慣れた・・・だが、もっとも信じられない人物の姿、そのままだった。
「『ルーク』が・・・もう一人・・・?」
それは誰が発した言葉だったか。
その言葉で、アッシュらが到着したことを悟ったルークは、ラルゴの鎌をかわしながらゆるく微笑んだ。
ここからが正念場だ。
俺は、絶対に・・・もう喪ったりはしない。
あとがき
・・・意味不明?はい。わたしもわかりません(ぇ)
長らく更新しておりませんで、申し訳ございません。
ただいま、新生活への適応を目指して、朝から晩まで働いとります。
ほんと、生活様式変わるのってしんどいですよね・・・
学生も社会人も今は大変・・・;
一生懸命、頑張ってますので、更新についてはもうちょっとお待ちください。
・・・といっても、比較的人気ある様子のシンルクはひとまず終わってますが・・・もう一個の連載・・・頑張ります。はい。
これはTOAと遙かのダブルパロ・・・というものです。
まぁ、要するに、TOAキャラ&世界で遙かと似たようなものをやってみよー。という、私の腐った脳内から生まれたものです。
別に、新連載!とかじゃありません。
きになる!って人がいたばあいと、自分のやる気が沸いたらまた書きます。
ちなみに、遙かでいう神子はルークです(笑)
女体化・・・とかは特に考えてないです。
そんなんでもいい!・・・ってかたは、続きから読んでください。