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  <title>からふるぴーまん</title>
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  <description>ＴＯＡに関する妄想文だったり、日記だったりを書いていきます。ネタバレ有り。いわゆる&quot;女性向け&quot;の文章表現多々。
出版元・製作元様方には一切関係ありません。
また、突然消失の可能性があります。
嫌いな方は他のところに逃げてくださいね。
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    <item>
    <title>黒獅子の目覚め20</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>結局、アレクセイはユーリのよこした証文を手に、自らは皇族であると名乗り出た。<br />
評議会は、証文はアレクセイが無理やりに書かせたものではないかとして、それを否定したが、真実はどうであれ証文は本物。<br />
アレクセイを慕う騎士団は当然アレクセイを支持し、アレクセイの言を疑う者はいない。<br />
それに異を唱えていた評議会であったが、評議会の中からも、アレクセイが異例の若さで騎士団長に任命されたのは、このような事情があったためではないのかと言うものが現れて、評議会としてもアレクセイが皇族であると認めないわけにはいかなくなった。<br />
だが、皇族であるのと皇帝になるのとは別問題。<br />
皇帝になることに対しては承認しかねる。<br />
そう表明していたのだが&hellip;&hellip;</p>
<p>「アレクセイが皇族であるのであれば、私は皇位継承権を放棄します」</p>
<p>評議会が擁立していた皇帝候補、エステリーゼがそう宣言した。<br />
自分はもともと遠縁。<br />
実績もあるアレクセイが皇帝候補に名乗りを上げるならば、自分は身を引くのが筋でしょう。<br />
そう言いだした彼女に、焦ったのは評議会だ。<br />
これまで自分たちのなすことに異を唱えたことがなかった彼女が初めて、評議会に意見したのだ。<br />
しかも最悪な形で。<br />
これでは残るヨーデルが皇帝となったとしても、評議会の弱体化は免れない。<br />
必死に策を練る議員らをアレクセイは待ちはしない。<br />
彼は自らの言を生かし、国民を味方につけた。<br />
結果、もう一人の皇帝候補であったヨーデルも&hellip;</p>
<p>「彼にお任せしましょう。民もそれを望んでいます」</p>
<p>そう言って候補を退いた。<br />
皇帝の証となる宙の戒典は未だに帝国の手には戻っていないものの、他に皇帝候補がいない以上、アレクセイが皇帝になることを評議会は認めざるを得なかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>そうして、帝国は新たなる皇帝を迎えた。<br />
だが、その代わりに空席となった席が一つ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「はぁぁぁぁ」</p>
<p>長い長いため息をついて、紫色の羽織の裾を翻して一人の男が歩く。<br />
常に暁に彩られた街、ダングレスト。<br />
そこを重い足取りでレイヴンは歩いていた。<br />
目的地はユニオン本部。<br />
帝国が新しい皇帝を迎えようとこの街は変わらない。<br />
レイヴンは顔パスでユニオンの門をくぐりぬけ、ドンの私室へと足を踏み入れた。</p>
<p>「よぉ」<br />
「レイヴンじゃねぇか。何しにのこのこ顔見せやがった」</p>
<p>中にいたのは、ドンの私室のソファにゆったりと座り、こちらに片手を上げて見せる男&hellip;ユーリと、この部屋の主。<br />
シゾンタニアへ行って以来ろくに顔を見せていなかったために、案の定ドンから怒鳴られることになった。<br />
だから来たくなったのだと心中でぼやく。</p>
<p>「仕方ないでしょぉ&hellip;何かと忙しかったんだから」<br />
「知ったことか。で、何の用だ。おめぇ、オレに用があってきたわけじゃあるめぇ」<br />
「&hellip;&hellip;まぁねぇ&hellip;&hellip;」</p>
<p>ちろりと横目でユーリを見る。<br />
男はにやにやと笑ってこちらを見るばかり。<br />
おそらく、自分の用件などすでに分かっているだろうに、彼から言葉を発することはない。<br />
やはり自分が言うしかないらしい。<br />
覚悟を決めて、口を開く。</p>
<p>「ユーリ・ローウェル殿にアレクセイ皇帝陛下からの伝言が&hellip;」<br />
「へぇ？」<br />
「帝都に戻り、騎士団団長の職を&hellip;」<br />
「却下」</p>
<p>言葉半ばでバッサリ切って捨てられる。<br />
分かっていたことだが、口からため息が漏れるのを止められない。</p>
<p>「オレはもうすでに死んだ身だぜ？ということは帝国の人間じゃねぇ。そんな面倒事受ける義理はねぇよ」<br />
「それは、そうなんだけど&hellip;実際には死んでないわけでしょ。ならば何の問題もないと&hellip;&hellip;」<br />
「だから、こんなことにならねぇようにわざわざ葬式まで出したんだろうが。面倒事はごめんだ」<br />
「&hellip;&hellip;」</p>
<p>とりつく島もない。<br />
がっくりと肩を落とす。</p>
<p>「レイヴン。てめぇウチの人間のくせに、オレの息子を帝国に連れて行こうとはいい度胸じゃねぇか」<br />
「ぎくっ」<br />
「主席殿がくるってんなら話は通るがなぁ」</p>
<p>明らかにドンは面白がっている。</p>
<p>たしかに、天を射る矢に所属している『レイヴン』としては場違いな話である。<br />
ドンが言う通り、話しを持ってくるならば『シュヴァーン』のほうが筋が通る。<br />
だが、ダングレストに来るにはこの方が都合がよいのだ。</p>
<p>「&hellip;&hellip;もう、いいでしょ！どっちも俺様なんだから」</p>
<p>自分の口から自然と出た言葉。<br />
その言葉に誰よりも自分自身が驚いた。</p>
<p>『レイヴン』も『シュヴァーン』も両方自分。</p>
<p>今までそれを否定し続けてきたのは自分自身だったはずだ。<br />
アレクセイの意のままに動くシュヴァーンに嫌気がさして、自由なレイヴンにあこがれた。<br />
けれど、結局はそのレイヴンもアレクセイの指示に従って動く存在。<br />
自由にあこがれながらも、それは叶わず、結局は縛られるだけの自分に&hellip;この生に倦んでいた。<br />
そのはずだった。</p>
<p>おもむろに視線を上げる。<br />
すると、楽しげに目を細めるユーリと目があった。<br />
おそらく、ユーリは気付いているのだろう。レイヴン自身すら気付けなかった変化に。<br />
そして、それを面白がっている。</p>
<p>本当に性質が悪い。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><br />
「ふふふふ&hellip;&hellip;」</p>
<p>突然笑い始めたレイヴンを見て、ユーリとドンは顔を見合す。<br />
その顔は『ついに頭が湧いたか？』と考えているのがありありとうかがえる。<br />
そんなことには構わず、レイヴンはびしぃっとユーリに人差し指を突き付けた。</p>
<p>「こうなったら絶対諦めないんだから！大将が受けてくれなきゃ、俺様に御鉢が回ってくるのよ！そんなの御免だわ！」<br />
「それが本音かよ」<br />
「当たり前でしょ！誰が団長なんぞやりたいと思いますか！」</p>
<p>他の騎士らが聞いたら何と思うか。<br />
だがそんなこと関係ない。<br />
ユーリが団長なんか御免だと言うように、自分だってなりたくはないのだから！</p>
<p>「覚悟してよね！」</p>
<p>そう捨て台詞を吐いて、部屋を後にする。<br />
残されたのはぽかんとした二人。</p>
<p>「おい、ユーリ」<br />
「なんだよ」<br />
「おめぇ、なんかあいつのスイッチ押したみてぇだぞ」<br />
「そうらしいな」<br />
「どぉすんだ」<br />
「ま、いいんじゃねぇか」</p>
<p><br />
「その方が人間らしいだろ」</p>
<p><br />
そう言って、男は満足そうに笑った。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>本当に目を覚ましたのは、白鳥？<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ＥＮＤ</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/tov/%E9%BB%92%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%8120</link>
    <pubDate>Sun, 28 Feb 2010 23:42:27 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め19</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>「よぉ、早かったな」<br />
<br />
机の上には無数に並べられた酒瓶。<br />
部屋に充満する酒の匂い。<br />
それを見た瞬間、思わず顔が引きつった。<br />
何をしていたんだこの二人は。<br />
いや、この状況を見れば想像は容易にできる。<br />
自分たちがザウデに向かった後、二人はこの部屋で酒盛りを始めたのであろう。そしてそれが今まで続いていた&hellip;ただそれだけの話だ。<br />
だが、それが現騎士団長相手に死闘を繰り広げ、クーデターまがいなことを行った人間のしたことと考えればどうだろう。<br />
部屋の惨状を見た瞬間、脱力するのも仕方ないというものだ。<br />
アレクセイの眉間には深い縦じわが刻まれ、心なしか、デュークの無表情もどこか呆れているように見える。<br />
だが、当の二人はどこ吹く風。<br />
わずかに頬を赤くした表情で、にやにやとしながら三人を見回した。<br />
<br />
「で、どうだった？納得したかよ」<br />
「貴様が言いたいことは理解した」<br />
「へぇ&hellip;で？」<br />
<br />
そう尋ねる間も酒の注がれたグラスは手放さない。<br />
はたから見れば、酔っ払いが絡んでいるようにしか見えず、とてもこの世界の大事を話しているようには見えない。<br />
だが、帰ってその方がいいのかもしれない。<br />
かたい雰囲気では話せないことも、こういう雰囲気なら話しやすいこともあるだろう。<br />
&hellip;&hellip;そう自分に言い聞かせて、この異常な場での話に耳を傾けた。<br />
<br />
話の中心にされているアレクセイはすでに腹をくくったのか、迷うことなく口を開く。<br />
<br />
「ザウデには手を出さない。今はな」<br />
「今は&hellip;ねぇ」<br />
<br />
今は<br />
<br />
その限定型の言葉に、デュークが厳しいまなざしを向ける。<br />
それを制しつつ、ユーリは先を促した。<br />
<br />
「ザウデの役割は分かった。あれでは私の計画の役には立たない」<br />
「だから手を出さない&hellip;ね」<br />
「だが、あれをこのままにしておくつもりはない」<br />
「ふぅん」<br />
「私はこの世界を変える。私の道を邪魔するものは星喰みであろうと打ち砕く」<br />
<br />
確固とした決意を持って宣言された言葉。<br />
それを聞いて、思わず息を飲む。<br />
そうだ。これが高いカリスマ性をもって騎士団を率いてきた、アレクセイという男だ。<br />
アレクセイの言葉を受けて、ユーリの唇が弧を描く。<br />
<br />
「要するに？」<br />
「計画は曲げても、自分の意思は曲げる気はねぇってことだろ」<br />
<br />
ユーリの言葉尻をナイレンが継ぐ。<br />
二人は何やら見つめあって、笑い始めた。<br />
<br />
&hellip;&hellip;実に不気味である。<br />
だが、それを止める者は残念ながらいなかった。<br />
<br />
やがてひとしきり笑って満足したのか、ようやくユーリが笑いをおさめる。<br />
そして、数々の酒瓶を押しのけて、その下から一通の封筒を取り出した。<br />
それをブーメランでも投げるかのように、アレクセイに向かって投げてよこした。<br />
ユーリの手から離れた封筒は緩やかな弧を描いて、アレクセイではなくシュヴァーンの手におさまった。<br />
<br />
「やる。好きに使え」<br />
<br />
そう言われても、何が何だかわからない。<br />
アレクセイを見れば、開けるようにう促された。<br />
仕方なしに、懐に入れてある小刀で封を切る。<br />
すっと中身を取り出してみれば、信じられない文面が見え、思わず身を凍らせた。<br />
身動きをしなくなった自分の手から、アレクセイが書類を奪うが、それを目にした彼もまた、冷静沈着な騎士団長には珍しく、驚愕の表情をうかべてユーリを見た。<br />
<br />
「何だこれは」<br />
「見ての通りだろ」<br />
「どうしてこんなものがある」<br />
「本物なのは間違いないぜ」<br />
「そんなことは見ればわかる」<br />
「ならいいじゃねぇか」<br />
「そういう問題か！」</p>
<p>アレクセイが声を荒げる気持ちがよくわかる。<br />
それほどに、ユーリが差し出してきたものはあり得ないものであるのだ。</p>
<p>それは、皇帝家直属の子孫であることを証明すると言った文面の書類。<br />
即ち、それをもつものは皇位継承権を持つということになる。<br />
しかも、そこに書かれていたのはアレクセイの名であったのだ。<br />
先の皇帝クルノス十四世が、アレクセイは自分の異母兄弟であると書き、署名捺印している。<br />
もちろん、そのようなことが事実でないのは、誰よりもアレクセイ自身が知っている。<br />
自分ではどうあがいても皇位に手が届かないから、武力による改革を進めようと考えたのだから。</p>
<p>刺すような視線が集まる中、ユーリは悠々と酒を呷る。<br />
そして一言。</p>
<p>「いらねぇなら捨てるぜ？」</p>
<p>この場でそれを言うか。<br />
思わず顔が引きつる。<br />
このような俗世の争いを目にして、世捨て人のデュークは一つため息をついて踵を返した。</p>
<p>「帰るのか？」<br />
「このような場にもはや用はない」<br />
「じゃ、オレも乗せてってくれ」<br />
「おい、ユーリ。お前、俺にあと押し付ける気じゃねぇだろうな」</p>
<p>デュークについて部屋を出ようとするユーリをナイレンがひきとめる。<br />
だが、それに返されたのは機嫌の好さそうな笑み。<br />
<br />
「賭けはオレの勝ちだったろ。ナイレン」<br />
「お前は最初からそのつもりだったろうが。&hellip;&hellip;もういい。いっちまえ。当分帰ってくるなよ」<br />
<br />
しっしっと猫の子でも追い払うように手を振るナイレンは諦め顔。<br />
だが、このまま置いていかれては何もわからないままだ。<br />
<br />
「ローウェル隊長！」<br />
<br />
慌てて声をかける。返されたのは&hellip;&hellip;<br />
<br />
「次はないからなー」<br />
<br />
ちらりと見えたのは、剣呑な光をおびた冷たい瞳。<br />
思わず息を詰まらせれば、その間に瞳は笑いを含んだものに変わり、逸らされた。<br />
後ろ手に手を振って、今度こそユーリの姿は消えた。</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
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    <pubDate>Sun, 14 Feb 2010 12:28:31 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め18</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>「&hellip;っ&hellip;こんなことが&hellip;&hellip;」<br />
<br />
ザウデの中枢。<br />
一人ザウデの術式を解析していたアレクセイはその手を止め、壁に拳を叩きつけた。<br />
アレクセイがおかしな真似をせぬようにその様子を監視していたデュークは、アレクセイの様子を見て静かに言葉を紡いだ。<br />
<br />
「それがザウデの役割。この世界の真実」<br />
<br />
アレクセイが何を知ったのかは分からないが、その様子から生半可なものではないと知れる。<br />
この場でそれを知らぬのは自分だけ、という疎外感を感じつつデュークを見れば、それを察したのか無口な男が再度口を開いた。<br />
<br />
「古代ゲライオス文明で数多くの魔導器が作られ、人はそれを使用してきた。だが、魔導器はエアルの乱れを引き起こす。一つ一つは微々たるものでも、世界中で魔導器が使用されれば、その乱れは巨大なものになる。始祖の隷長らはエアルの乱れを調整し続けてきたが、人が引き起こしたエアルの乱れは始祖の隷長らの調整能力をついに上回った。ゲライオス文明の末期&hellip;世界に災厄が訪れた」<br />
「災厄？」<br />
<br />
そのようなこと、文献には残されていない。<br />
確かに、古代ゲライオス文明は突如滅び去っているが、それはその災厄のためだというのだろうか<br />
眉をひそめる自分をよそに、デュークの話しは続く。<br />
<br />
「星喰みと呼ばれた災厄はその名の通り、星の命ともいえるエアルを喰う。エアルを用いた術式は星喰みには通用せず、世界は滅びの時を迎えようとした。その時になって人はようやく気付いたのだ。自らの過ちを」<br />
<br />
デュークはまっすぐに空を見上げる。<br />
その瞳は憎い仇を見るかのように赤く燃えていた。<br />
<br />
「当時の指導者であった満月の子らは、その命を原動力としてこのザウデを起動させた。星喰みを遠ざけるために」<br />
「ではザウデは巨大な結界魔導器ということか」<br />
「そうだ。そして、残った満月の子が魔導器を地中へ破棄し、魔導器を管理するためとして帝国を興した。だが、結局は同じこと。人はまた同じ過ちを繰り返す。&hellip;愚かしいことだ」<br />
<br />
言葉の節々に、人に対する嫌悪感を感じる。<br />
空を見ていたデュークの瞳が、今度はアレクセイに向けられる。<br />
<br />
「貴様はどうする」<br />
<br />
愚か者となるか？<br />
<br />
そうデュークは無言で尋ねる。<br />
その手には抜き身の宙の戎典が握られており、返答如何によってはこの場でアレクセイを斬る気なのがありありとわかる。<br />
アレクセイはデュークをちらりと見たのみで、無言で手を下ろした。<br />
<br />
「戻る。あの男の思い通りになるのは癪だが&hellip;&hellip;仕方あるまい」<br />
<br />
あの男&hellip;とはおそらくユーリのことだろう。<br />
デュークの問いに対して明確な答えは口にせず、アレクセイは出口へと足を向けた。<br />
彼は心を決めたのだろう。<br />
では、自分は&hellip;？<br />
そんな心の迷いを見透かしたように、アレクセイの瞳がシュヴァーンを射抜く。<br />
<br />
「シュヴァーン、お前はどうする気だ」<br />
<br />
それに対する答えはまだ持ってはいなかった。<br />
だが一つ言えること&hellip;。<br />
<br />
<br />
<br />
「最後まで見届けさせてもらいます」<br />
<br />
<br />
<br />
たとえそれがどのような結果になろうとも、それが今まで自分がしてきたことのけじめになるだろうから。</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
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    <pubDate>Thu, 11 Feb 2010 13:09:47 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">igsword84.blog.shinobi.jp://entry/145</guid>
  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め17</title>
    <description>
    <![CDATA[ザウデへと向かう船の中。大変重い空気に包まれていた。<br />
ユーリがデュークを説明する際に使った『人間嫌い』という言葉は実に的確な表現であったようで、男は全くと言っていいほど口を開かない。<br />
アレクセイの方も何も言わないので、当然船の上での会話はない。<br />
<br />
重い<br />
<br />
初めのうちは我慢していたシュヴァーンであったが、テルカ・リュミレースのへそと呼ばれる海域にあるザウデへはそれなりの時間を有する。<br />
その間、この針の筵のような空間ですごすことに、さすがのシュヴァーンも気力を削がれていた。<br />
どちらかが一言でも話してくれればこの重い空気も少しは解消される気もするが、その二人にそれは望めない。<br />
このまま耐えるべきか、自分から口を開くべきか。<br />
悩んだ挙句、答えが返ってこないことを覚悟の上で、デュークに声をかけることにした。<br />
<br />
「デューク。ローウェル隊長とはどこで知り合ったんだ？」<br />
<br />
ユーリはすでに隊長ではないのだが、こう呼ぶ方が今の自分にとってはしっくりくる。<br />
じっと相手の反応を窺っていると、今まで何の反応も見せなかったデュークがちらりと横目で見た。<br />
だが、その瞳はすぐにそらされる。<br />
やはり答えてはくれないか&hellip;そう諦めかけたとき、ぽつりと波音に消えそうなくらい小さな声でデュークが呟く。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;人魔戦争だ」<br />
「&hellip;&hellip;え？」<br />
<br />
今のが答えなのか。<br />
デュークを見るが、彼はまっすぐに海を見つめるばかりでこちらとは目を合わせない。<br />
だが、応えを返したということは話す気はあるということだろう。<br />
重ねて問いかける。<br />
<br />
「どうやって？そちらは騎士団には所属していなかったはず&hellip;」<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
<br />
かつて人と始祖の隷長の間で勃発した争いは、後に人魔戦争と呼ばれた。<br />
10年以上も前の話であるため、自分はまだ騎士団には所属してはいない身ではあったが、当時のことは嫌というほど覚えている。<br />
何せ、自分を騎士団に入らざるを得なくした理由を作ったのが、人魔戦争であったのだから&hellip;。<br />
無意識に自分の左胸を抑える。<br />
手に触れる硬い感触。<br />
戦争に巻き込まれて死ぬはずであった自分を助けたこれは、同時に自分を縛りつける鎖となった。<br />
これを植え込んだ男&hellip;アレクセイが、何を考えて当時の自分を選んだのかは分からない。<br />
だが、それ以降自分はアレクセイのもとで働くことを余儀なくされた。<br />
人魔戦争のことは帝国に隠されて一般には知れることはなかったが、騎士団に入った自分はアレクセイの指示で動くにつれ、当時のことをわずかながら知ることができた。<br />
その一つが、この男&hellip;デュークの存在である。<br />
当時、傭兵として戦に参加したこの男は、そのたぐいまれなる才を発揮して、帝国の勝利に貢献した&hellip;とか。<br />
だが、戦の後に彼は姿を消し、帝国は彼の功績すら抹消した。<br />
その理由があるのであろうが、それは調べても分かりはしなかった。<br />
あの戦争で何があったのか。<br />
それをこの男は知っている。<br />
そして、なぜかそこにユーリが関わっている。そんな気がした。<br />
<br />
じっとデュークを見る。<br />
デュークは一つため息をつくと、口を開いた。<br />
<br />
「奴に命を助けられた」<br />
<br />
端的な一言。<br />
自分にはその言葉以上のことは分からなかったが、アレクセイには思い当るところがあったらしい。<br />
その瞳が初めてまともにデュークに向けられた。<br />
<br />
「なるほどな。あの数の討伐隊から逃げ伸びたのは奴の手引きか」<br />
<br />
アレクセイの言葉に、デュークの眼光が鋭さを増す。<br />
どうやら、それはデュークにとって触れられたくない部分であるようだ。<br />
危うげな空気が流れたが、それはデュークが瞳をそらすことで途切れた。<br />
もう話すことはない。そう彼の背が語っている。<br />
話を始める前よりも険悪となった雰囲気に、そっと溜息をついた。<br />
<br />
<br />]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/tov/%E9%BB%92%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%8117</link>
    <pubDate>Fri, 05 Feb 2010 11:14:57 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め16</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>「はっ&hellip;&hellip;貴様の勝ち、だ。憎らしい奴め。いつも私の邪魔をする」<br />
「ははっ。そりゃこの上ない褒め言葉だな」<br />
<br />
仰向けに倒れたアレクセイに、ユーリは刀を向ける。<br />
それを眺めながら、アレクセイは自嘲気味に笑う。<br />
<br />
「ここで終わりか。長年の計画も崩れればあっけないものだ」<br />
「妙に諦めが早いな」<br />
「&hellip;時が来たということだ。&hellip;&hellip;どうした？けじめをつけるのだろう？」<br />
<br />
さっさとやれ、とせかす男に、ユーリは深々とため息をつく。<br />
<br />
「そんなつもりのけじめじゃねぇよ。&hellip;&hellip;だから安心しろ、シュヴァーン」<br />
「&hellip;&hellip;なに？」<br />
<br />
アレクセイの目がさまよい、やがて自分の姿を認めて、その目が大きく見開かれる。<br />
どうやら、本当に自分の存在には気づいていなかったようだ。<br />
知らず知らずのうちに詰めていた息をゆっくり吐く。すると、自分の左手にいやに力がこもっていることに気づく。<br />
意識して見れば、無意識のうちに剣を握りしめていたことが分かった。<br />
<br />
抜こうとしていたのか。剣を。&hellip;なぜ。<br />
<br />
戸惑いながらも剣から手を放す。<br />
みれば、ユーリがにやりと笑っているのが見えた。<br />
<br />
「オレはあんたを殺すつもりはないぜ。死にてえんなら、てめえでやってくれ」<br />
「ならば何のためにこんなことをした」<br />
<br />
わけがわからないと顔をしかめるアレクセイ。<br />
ユーリはと言えば、戸惑うアレクセイを面白そうに眺めている。<br />
同じく事情を知っていそうなナイレンを眺めれば、肩を竦められた。<br />
ナイレンから事情を話す気はないようで、ユーリの言葉を待つしかないようだ。<br />
ユーリは体を起こしたアレクセイの隣に座ると、ようやく口を開いた。<br />
<br />
「オレはあんたの計画には賛同できねえ」<br />
「&hellip;だろうな」<br />
「けど、今の帝国を変えるってことは反対しねえ。別に、あんたが上に立つって言うんなら反対もしなかったさ。&hellip;あんたの計画があれじゃなけりゃな」<br />
<br />
ユーリの言葉はアレクセイにとってはかなり意外であったようで、無言で彼を見つめている。<br />
ユーリは一つ息をつくと、真剣な顔でアレクセイを見た。<br />
<br />
「あんたは気づいてないかもしれねぇけどな、あんたの計画には致命的な欠陥がある」<br />
「何？」<br />
「あんたの計画の要&hellip;ザウデ不落宮。あれはあんたの思っているような兵器じゃねぇよ」<br />
「&hellip;なんだと？」<br />
<br />
アレクセイの目が剣呑としたものへ変わる。<br />
<br />
「あんたはどうせ信じねぇだろうからな。実際に見てこいよ。&hellip;デューク。頼む」<br />
<br />
ユーリが声をかけると、どこからか一人の男が現れた。<br />
手には宙の戎典を持っている。<br />
シュヴァーンはその男を知っていた。<br />
人魔戦争の英雄、デューク。<br />
だが、その存在は歴史から抹消され、彼自身の行方も分からないままであった。<br />
その彼もまた、ユーリとつながりがあったとは。<br />
信じられない思いで見ている中、デュークは滑るような足取りでユーリの横に並ぶ。<br />
<br />
「こいつと一緒にザウデに行ってこいよ。ま、分かってると思うが変な気は起こすなよ。こいつは人間嫌いだからな。あんたが変なまねをしたら今度こそ息の根止められるぜ」<br />
「&hellip;&hellip;もとより負けた身だ。無様なまねはしないさ」<br />
「だとさ。頼めるか、デューク」<br />
「&hellip;&hellip;良いのか？」<br />
「頼む」<br />
<br />
ユーリの迷いない様子を見て、デュークはわずかに頷く。<br />
そして高々と宙の戎典を掲げた。<br />
<br />
御剣の階梯より眩い光が放たれる。<br />
光は巨大な橋となって空を走り、やがて海へと突き刺さった。<br />
その瞬間。大地を揺るがす震動が世界各地へと伝わった。<br />
遠く離れたこの場所からですら、その巨大な魔導器を見ることができた。<br />
<br />
「あれが&hellip;ザウデ&hellip;&hellip;」<br />
<br />
驚愕の面持ちでそれを見やる。<br />
アレクセイはあれを巨大な兵器だと言っていたが、本当にそうなのだろうか。<br />
指輪のように円いフォルムで巨大な魔核を掲げるその姿は、他者を攻撃するよりも、なにやら祈りのようなものを感じる。<br />
痛む体を引きずるようにして立ち上がったアレクセイは、複雑な表情でそれを見ている。<br />
長年この手に&hellip;と望んでいたザウデだ。思うところは多いのであろう。<br />
<br />
「見てこいよ&hellip;&hellip;この世界の真実を&hellip;な」<br />
<br />
ユーリの呟きが聞こえる。<br />
それにどこか暗いものを感じて彼の方を振り返るが、彼はこちらに背を向けていて、その表情はうかがえない。<br />
<br />
「デューク。大体は俺の部屋にいるだろうからな、終わったら帰ってきてくれ」<br />
<br />
ナイレンがそのように促せば、デュークが小さく頷く。<br />
やがて、デュークとアレクセイ、それにシュヴァーンを乗せた船が、帝都からザウデに向かい出航した。</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/tov/%E9%BB%92%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%8116</link>
    <pubDate>Sun, 31 Jan 2010 01:30:05 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め15</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>夜半。<br />
静まり返った城の中に、足音が響く。<br />
アレクセイだ。<br />
親衛隊の一人もつけず、一人人目を避けるように歩いている。<br />
<br />
&hellip;こんな時間にどこへ&hellip;<br />
<br />
たまたまアレクセイに用があって彼の執務室を訪ねようとしたのだが、ちょうどその時、部屋からアレクセイが出てきた。<br />
城内というのに武装した姿で歩く彼の姿は異様で、シュヴァーンは思わず身を隠した。<br />
そして、歩んでいく彼の後を追いかけたのだ。<br />
<br />
気配を殺して彼の後を追う。<br />
アレクセイのことだ。自分の気配などすでに感じ取っているかと思ったが、彼は一度も振り向くことなく歩く。<br />
そして、城の最奥。謁見の間へと辿り着いた。<br />
今は座るもののない椅子が真ん中にぽつんと置かれている。<br />
こんなところに、何の用があるというのか。<br />
<br />
アレクセイは迷う様子もなく、王の椅子の後ろに回ると、壁に手をかざした。<br />
すると、壁の一部が動き出し、奥へ向かう通路が姿を見せた。<br />
どうやら、その壁が扉となっていたようだ。<br />
その奥へとアレクセイは足を進めていく。<br />
しばらく間を開けてから、シュヴァーンもそれに続いた。<br />
<br />
「ここは&hellip;」<br />
<br />
帝都の象徴、御剣の階梯。<br />
上を見上げれば、アレクセイが上へと登って行くのが見えた。<br />
結界魔導器の薄明かりに照らされ、薄ぼんやりとした道を息一つ乱さず淡々と歩く。<br />
やがて、頂上の広場へとたどり着いた時、初めてアレクセイが言葉を発した。<br />
<br />
「&hellip;わざわざこんな真似をしてまで何の用だ」<br />
<br />
誰に問いかけているのか。やはり、自分の気配に気が付いていたのだろうか。<br />
出ていくべきか悩んでいると、アレクセイのほかにもう二つ、人の気配があるのに気づいた。<br />
<br />
「ま、そろそろけじめつけようと思ってな」<br />
<br />
聞き覚えのある声。<br />
その声を聞いて、シュヴァーンの体が固まる。<br />
息を飲んで見つめれば、想像した通りの人物が現れた。<br />
ユーリ・ローウェル<br />
後ろにはナイレンの姿もある。<br />
<br />
「自分をわざわざ殺してまでつけたいけじめ&hellip;か。ご苦労なことだ」<br />
「その原因を作った人間が言う言葉かよ」<br />
「ふ&hellip;それもそうか」<br />
「否定しねえんだな」<br />
「私はすべてを背負うつもりでここまで歩んできた。今までも&hellip;そしてこれからもだ。今更逃げはしない」<br />
「止まりもしないってか？」<br />
「ああ」<br />
<br />
すべてを肯定し、アレクセイは剣を抜く。<br />
<br />
「私の覇道の前に立ちはだかるものはすべて排除する。それが貴様でもだ。ユーリ・ローウェル」<br />
「やっぱこうなるな」<br />
<br />
応じるようにユーリもすらりと剣を抜いた。だが、それは宙の戎典ではなく、細身の彼が愛用する刀であった。<br />
<br />
「フェドロックはいいのか？」<br />
「俺は見届け人だ。手出す気はないよ」<br />
「そういうことだ」<br />
<br />
ニヤリと笑うユーリ。その目には闘争心がすでに宿っている。<br />
獲物を前にした獣のように輝いていた。<br />
それにつられるように、アレクセイの唇もまた弧を描く。<br />
<br />
「じゃぁ、やろうぜ」<br />
「ああ」<br />
<br />
ギィン<br />
刃が交差し、空気を震わす。<br />
刃が防がれるとすぐに二人は互いに距離をとる。だが、止まりはしない。<br />
すぐにまた距離を詰める。<br />
だが、アレクセイのとった構えを見て、再び距離をとるべくバックステップを踏んだ。<br />
<br />
「光竜槍」<br />
<br />
突き出された剣の直撃は免れたものの、次いで襲いかかった光の槍は避けられなかった。<br />
とっさに刀で身を守るが、相手はアレクセイ。防御をとってもダメージは大きい。<br />
それに歯を食いしばって耐えるが、不意に足元が淡く光る。<br />
しまった、と思うがすでに遅い。<br />
ユーリの足元から竜が立ち昇り、ユーリの体は空に吹き飛ばされることとなった。<br />
飛ばされつつも、ユーリは空中で体制を立て直すと、刀を地面に叩きつけるようにして地面に着地した。<br />
それによって生じた衝撃派がアレクセイを襲う。<br />
術を発動した後で動けぬこともあり、衝撃波をまともに受けたアレクセイは、腕を盾にして身を守る。<br />
その好機を逃さぬユーリではない。<br />
アレクセイの懐に飛び込むと、胴に拳を叩きこむ。<br />
思わず前のめりになるアレクセイ。ユーリは攻撃の手を緩めることはない。<br />
肩が当たるほどにアレクセイに接近すると、闘気をぶつけた。<br />
<br />
「戦迅&hellip;狼破ァッ」<br />
<br />
放たれた狼がアレクセイを吹き飛ばす。思わず膝をついたアレクセイ。<br />
当然、追撃が来るはず&hellip;と身構えたが、それは訪れなかった。<br />
<br />
「もう終わりか？」<br />
<br />
黒髪を乱しながら、ユーリは楽しげに笑う。<br />
憎らしいくらいに。<br />
アレクセイはゆっくり立ち上がると、それに笑い返す。<br />
<br />
「まさか&hellip;」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「これからだ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
激しく打ち合う二人を、シュヴァーンは呆然と見つめた。<br />
アレクセイと互角に立ち会う人間なんて初めて見た。<br />
先日、自分が隊長主席に就任した際、彼と手合わせを行ったが、３分ともたなかった。<br />
あの男こそ最強の騎士。あの男に並ぶものなどいはしない。そう信じて疑わなかった。<br />
だが、それが今崩れようとしている。<br />
シュヴァーンは気配を消すのも忘れ、呆然と戦いに見入った。<br />
シュヴァーンの存在に気付いたナイレンがちらりとみたが、彼も何も言わず、二人の勝負の行方を見守った。<br />
<br />
さすがの二人も息を切らし、全身に致命傷ではないにしても、いくつもの傷が刻まれていた。<br />
<br />
「さて、と&hellip;&hellip;そろそろ決着つけるか？」<br />
「もう体力切れかね？」<br />
「おまえもだろ。強がんなよ」<br />
<br />
しびれている手に力を込め、剣を握りなおす。<br />
これで最後となるだろう。<br />
<br />
「自らを愚物と知るがいい！」<br />
「飛ばしていくぜ！」<br />
<br />
互いの闘気があたりを赤く染めるほどに濃く、強く放たれる。<br />
<br />
「舞い飛べ&hellip;！」<br />
「お終いにしようぜ！」<br />
<br />
闘気をまとった体が高速で地をかける。<br />
アレクセイの手を離れた剣が、舞うようにユーリに向かうが、彼の高速の剣にすべて叩き落とされた。<br />
アレクセイの目が驚愕に見開かれる。<br />
ユーリの姿が間近に迫り、終わりを悟った。<br />
<br />
「漸毅狼影陣！」<br />
<br />
ユーリの剣を受けた剣が砕け散る。<br />
<br />
<br />
<br />
騎士団で最強とされた男はこの日初めて、他者の前に倒れた。<br />
&nbsp;</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/tov/%E9%BB%92%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%8115</link>
    <pubDate>Wed, 27 Jan 2010 10:39:00 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>黒獅子の目覚め14</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>ユーリ・ローウェルの代わりとして騎士団の隊長になったのは、貴族出身のキュモールと言う男だった。<br />
初めは、アレクセイはなぜこんな才能もない男を採用したのかと疑問におもったが、やがてそれを自然と理解した。<br />
キュモールは、ほとんど平民で構成されていたユーリの隊を問答無用で解散させると、自分の采配で隊を編成した。<br />
所属するものは皆貴族の子弟。<br />
プライドだけは高い、実戦経験のない隊。<br />
役に立ちはしないが、貴族とその他と言う線引きができていた。<br />
これこそがアレクセイの狙いであったのだろう。<br />
彼は騎士団の膿を集めるために、キュモールを隊長としたのだ。<br />
不要となれば隊ごとすぐに処分できるように。<br />
<br />
頭が切れるのも、カリスマ性をもつのもかつてのアレクセイと変わらない。<br />
だが、唯一変わったのはこの残虐性であった。<br />
目的のためならば何を切り捨てても構わないという姿勢。<br />
それが、シュヴァーンには眩しくもあり、恐ろしくもあった。<br />
<br />
それほどにも心血を注げることがあるのは幸せなことであるから。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「よぉ」<br />
<br />
廊下で声をかけられ、振り向く。<br />
その人物を見た瞬間、頭を下げた。<br />
<br />
「お久しぶりです、フェドロック隊長」<br />
「よせ。今はお前の方が立場が上だろうが。なぁ、隊長主席殿」<br />
<br />
異例の出世として、隊長主席に就任してからあちこちで囁かれた陰口。<br />
正直うんざりしていたが、この男の言葉からは自分に対する負の感情だとかは感じられない。<br />
単純に事実を言ったという感じだ。&hellip;面白がってはいるようだが。<br />
<br />
「何かあったのですか？」<br />
「あ？ちょっと野暮用だ」<br />
<br />
あの事件後、被害にあっていたシゾンタニアも元の平穏を取り戻し、徐々に人も戻ってきているという。<br />
親衛隊の人間が魔導器を動かした犯人の手掛かりを得るためと称して宙の戎典を捜索したが、宙の戎典はおろか、ユーリの遺体も見つからなかった。<br />
その報告を聞いてから、アレクセイは宙の戎典の捜索を断念し、自らそれを作り出すことに力を入れ始めている。<br />
あれだけ手に入れたがっていたのに、なぜあっさりと手をひいたのか。<br />
それに、目の前のナイレンに対してもシュヴァーンは疑問を感じていた。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;どうしてあなたは、あの人を探していないのですか？」<br />
<br />
まさか、自分がそれを口にするとはおもわなかったのだろう。ナイレンの目が大きく見開かれる。<br />
だがそれも一瞬のことで、次の瞬間にはいつもの飄々としたいつもの表情に戻っていた。<br />
<br />
「ま、必要ねぇからな」<br />
「それは、どういう&hellip;&hellip;」<br />
<br />
ナイレンは笑う。<br />
<br />
「ま、今に分かる」<br />
<br />
今に分かる&hellip;それは、近いうちに何かがおこるということだろうか。<br />
ナイレンが何かを知っているのは確か。おそらく、アレクセイにとっては邪魔なことだろう。<br />
だが、不思議とこのことをアレクセイに報告する気にはなれなかった。<br />
<br />
もしかしたら、自分もその何かを無意識に望んでいたのかもしれない。<br />
<br />
<br />
<br />
&nbsp;</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/tov/%E9%BB%92%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%8114</link>
    <pubDate>Tue, 26 Jan 2010 14:27:30 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">igsword84.blog.shinobi.jp://entry/141</guid>
  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め13</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>「で？獲物はこの先か？」<br />
<br />
ユーリが示すのは濃いエアルの流れてくる通路。<br />
<br />
随分と奥へ進んできた。ここがおそらく、この遺跡の中心部だろう。<br />
ならば、目当てのものもこの近くのはず。<br />
予想を裏付けるようにエアルの量も一段と濃い。<br />
<br />
そのはずだ、とナイレンは頷いた。<br />
それを聞くと、ユーリは剣を片手にその方向へと足をむけた。<br />
自分が投げた斧には目もくれない。<br />
まさか、置いていくのだろうか。エルヴィンは思わずこえをかけた。&nbsp;</p>
<p>「ローウェル隊長。あれは、置いていかれるのですか？」<br />
「ん？ああ、欲しいんならやるぞ」<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;は？」<br />
<br />
上官に対して、あんまりな返答であったと思う。<br />
だが、考えよりも先に声が出てしまった。<br />
なぜなら、あの斧はただで他人にあげてしまえるようなものではないのだ。<br />
バハムートティア<br />
市場に出回ることはほとんどなく、あったとしても高額で、一騎士に過ぎない自分が手に入れることは到底叶わないあこがれの斧。<br />
それを、簡単に&hellip;&hellip;<br />
<br />
呆然とするエルヴィンの肩をナイレンが叩く。<br />
<br />
「いらねぇって言ってんだ、もらっとけ」<br />
「ですが&hellip;」<br />
「あいつは斧も使うが、本業は剣士だ。それにあぁ言うってことは、もうスキルもマスターしてんだろうよ」<br />
<br />
ユーリの方を見れば、にやりと笑っている。<br />
ナイレンの言うことはあっているようだ。<br />
だからと言って、それならば、と簡単に受け取ることなんてできるはずがない。<br />
悩むエルヴィンに揶揄するような声がかかる。<br />
<br />
「いらねぇんなら、そこに置いてくだけだぜ」<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
<br />
こうして、斧使いの憧れバハムートティアはエルヴィンの手に収まった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「これは&hellip;&hellip;」<br />
<br />
部屋に入ったとたん見えたのは巨大な魔導器。<br />
それを見上げたフレンは無意識に声を上げた。その目には恐れが宿っている。<br />
それは皆同じようで、フレンと同じように魔導器を見上げて息を飲んだ。<br />
<br />
巨大な魔導器は異常な量のエアルを吸い込んでいる。あたりは赤く染まり、常ならぬ様相。<br />
さながら戦場か地獄絵図のようだ。<br />
<br />
「どうして&hellip;」<br />
「だれがこんなこと&hellip;」<br />
<br />
ヒスカとシャスティルが呆然とつぶやく。<br />
皆、同じ思いで不気味に作動し続ける魔導器を見上げていた。<br />
だが、レイヴンは違った思いでそれを見上げていた。<br />
なぜなら、自分はこれを行った&hellip;いや、行わせた人物を知っているから。<br />
<br />
<br />
大将。あんたは、この世界を&hellip;&hellip;<br />
<br />
レイヴンの考えを断ち切るように、あたりに爆発音が響く。<br />
<br />
「ナイレン！」<br />
「まだ何もしてねぇよ！」<br />
<br />
魔導器を止める手立てとしてリタから譲り受けた魔導器は、まだ自分の手の中だ。<br />
これは自分たちが引き起こしたものではない。<br />
見上げれば、巨大魔導器が大きく振動しているのが目に入る。<br />
多量なエアルに魔導器の方が耐えられなくなったのだ。<br />
<br />
&hellip;&hellip;このタイミングでかよっ<br />
<br />
ユーリはナイレンに目配せをすると、すらりと剣を抜き、魔導器のほうへ足を向けた。<br />
その剣を目にしたレイヴンは、思わず息を飲む。<br />
<br />
<br />
宙の戎典&hellip;！<br />
<br />
<br />
それは先の大戦で失われ、アレクセイが血眼になって探させているもの。<br />
なぜ、それをユーリが手にしているのか。<br />
疑問が口をついて出そうになるのを、ぐっとこらえる。<br />
『レイヴン』がそれを口にしてはいけない。<br />
<br />
『レイヴン』はギルドの人間。ギルドを監視するために、ギルドに溶け込むようにつくられたもの。<br />
その『レイヴン』が宙の戎典など知っているはずはない。<br />
だが、騎士団の『シュヴァーン』は知っている。<br />
『シュヴァーン』ならば、ユーリの手にある宙の戎典を回収しなければならない。<br />
だが、ここにいるのは『シュヴァーン』ではなく、『レイヴン』だ。<br />
共にアレクセイから命じられたことであるのだが、それが今相反している。<br />
<br />
レイヴンはきつく拳を握った。<br />
胸に抱いたラピードが不思議そうに自分を見上げているのがわかるが、今は答えてやる余裕がない。<br />
自分を落ち着かせるように、詰めていた息をゆっくり吐いた。<br />
<br />
<br />
今は、レイヴンよ<br />
<br />
<br />
そう決断して顔を上げる。<br />
一瞬、ユーリの顔が笑ったように見えたが、それは光に覆われて見えなくなる。<br />
ユーリを中心に展開された術式が、眩い光となってあたりを覆った。<br />
激しく流れる空気と光とで目を開けていられず、両腕で顔を覆った。<br />
<br />
やがて、吹き荒れていた風がやむ。<br />
ゆっくりと目を開けば、エアルの乱れはなくなり、あたりは平穏を取り戻している。<br />
部屋の中央には沈黙した魔導器と、唇に笑みをのせたユーリの姿。<br />
<br />
「ローウェル隊長？」<br />
<br />
動かないユーリを不思議に思ったフレンが、彼に近づこうと歩を進める。<br />
だが、それはナイレンの手によって遮られた。<br />
フレンがどうして、と言う思いを込めてナイレンを見上げるが、目に映ったのは普段の優しい彼ではなく、厳しい表情。<br />
<br />
その時、地鳴りにも似た振動が足に伝わった。<br />
魔導器を中心に、円形にひびが走る。<br />
<br />
崩れる&hellip;！<br />
<br />
「全員、退避！」<br />
<br />
ナイレンの命令に従い、魔導器から距離をとる。<br />
レイヴンもそれに倣って動いたが、胸騒ぎを感じて後ろを振り返った。<br />
目に入ったのは、その場で微動にもしないユーリの姿。<br />
その顔はなぜか笑っている。<br />
声をかけようと口を開くが、その時、床が崩れ落ちた。<br />
ユーリの長い髪が宙に舞い、その体が魔導器とともに落ちる。<br />
<br />
「――――っ！」<br />
<br />
叫ぼうとしたのは何であったか。<br />
レイヴンの口からは、言葉にならない声しかもれず、その声すらも響き渡る轟音にかき消された。<br />
<br />
<br />
ぽっかりと空いた巨大な穴に声をかけども、返ってくる声はなく&hellip;&hellip;<br />
<br />
<br />
やがて、ユーリ・ローウェルとされた空の棺がひとつ、土へと還された。<br />
&nbsp;</p>]]>
    </description>
    <category>TOV</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/tov/%E9%BB%92%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%82%8113</link>
    <pubDate>Mon, 25 Jan 2010 14:39:09 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">igsword84.blog.shinobi.jp://entry/140</guid>
  </item>
    <item>
    <title>お知らせ(再)</title>
    <description>
    <![CDATA[イベントに参加してきました。<br />
少部数本発行して、サイトＵＲＬをこちらにしてるのでご報告。<br />
<br />
実はヴェスペリアは別の携帯サイトがあります。<br />
<a href="http://m-pe.tv/u/page.php?uid=igsword&amp;id=1">からふるぴーまん（携帯）</a><br />
内容はヴェスペリアのみです。<br />
アビスの小説は向こうにはありません。<br />
ま、このブログも携帯から見れるのですが、ヴェスペリア目当てで来られてる方がいましたら、多少はあちらのほうが見やすいかと。<br />
日記とかも書いたり書かなかったりしてるので、生存確認もできるかもです。<br />
よろしければどうぞ。<br />
<br />
少部数本&hellip;もし、お手に取って下さった方がいましたら、ありがとうございましたｖ]]>
    </description>
    <category>日記</category>
    <link>https://igsword84.blog.shinobi.jp/%E6%97%A5%E8%A8%98/%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B-%E5%86%8D-</link>
    <pubDate>Sun, 24 Jan 2010 15:00:42 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">igsword84.blog.shinobi.jp://entry/139</guid>
  </item>
    <item>
    <title>黒獅子の目覚め12</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>がらがらと壁が崩れる。<br />
そのがれきをつなぎとめるように張り巡らされた赤い糸は、人形を操る糸のように働き、やがて巨大なゴーレムを作りだした。<br />
暗く光る赤い瞳は、さもそれが生きているかのように見え、不気味さを醸し出している。<br />
先に戦ったときと同タイプであることから、あの赤い糸を切ってしまえば動きは止まり、ゴーレムはただの土くれに戻るだろうことは想像できたが、今度の敵は巨大すぎた。<br />
糸を切ろうにもゴーレムの上部まで攻撃は届かず。<br />
また、巨大な体躯が繰り出す拳は、その重量から振り下ろすだけですさまじい破壊力をもっていた。<br />
<br />
「固まるな！」<br />
<br />
上から繰り出される拳をすんでのところで避けつつ、ナイレンは指示を飛ばす。<br />
一つにまとまっていては格好の的だ。<br />
しかし、ゴーレムの攻撃を避けはしたものの、衝撃波までは避けることはできず&hellip;<br />
ナイレンは踏みとどまったものの、女性で身軽なヒスカはそれに耐えきれなかった。<br />
バランスを崩した彼女のもとに一本の赤い糸がゴーレムから離れ、一直線に走ってきた。<br />
<br />
「くそっ」<br />
<br />
とっさに彼女の手をひいて自分の背後に庇う。<br />
だが、赤い糸は生き物のように自在に方向を変え、今度はナイレンに狙いを定めた。<br />
<br />
避けきれない。<br />
<br />
それが与えるであろう衝撃を覚悟する。<br />
だが、それはナイレンの身を襲うことはなかった。<br />
<br />
目の前を風を切って何かが通り過ぎていく。<br />
それはナイレンに襲いかかろうとしていた赤い糸を切り裂くと、弧を描きそのままゴーレムへと向かっていく。<br />
そして、巨大なゴーレムの上部の赤い糸をも切り裂いた。<br />
途端、支えを失ったようにゴーレムは崩れおち、無数の瓦礫となって地に倒れた。<br />
ゴーレムをただの土くれとなしたものはそのままの勢いで床に刺さる。<br />
それは一本の斧だった。<br />
それを見たナイレンの顔に笑みが上った。<br />
<br />
「おせぇよ」<br />
「わりぃな」<br />
<br />
ナイレンの呟きに声が返る。<br />
土埃の中から現れたのは、勝気な笑みを浮かべたユーリ・ローウェル。<br />
ユーリはそのままナイレンのもとに歩んでいくと、ぱん、と手を合わせた。<br />
それだけで、この二人が互いをどれだけ信頼しているかが伝わってくる。<br />
その姿をラピードを胸に抱いたレイヴンがくたびれた様子で見ていた。<br />
ゴーレムを一人であっさりと倒すユーリと、それを当然のことのように受け止めるナイレン。<br />
信頼していると言えばそうなのだろうが&hellip;<br />
<br />
「はちゃめちゃよね、あの二人」<br />
「ワゥ」<br />
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自分の言葉を肯定するように答えるラピードを撫でつつ、レイヴンはため息をついた。<br />
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    <pubDate>Fri, 25 Dec 2009 12:20:23 GMT</pubDate>
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